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The Last King of Scotland (Vintage International)

価格: ¥1,193
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Vintage
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 『The Last King of Scotland』(邦題『スコットランドの黒い王様』)の主人公は、おとぎ話の「ハンサムなチャーリー王子」ではない。ジャイルズ・フォーデンの処女作のタイトルになっているこの人物は、ウガンダの独裁者、イディ・アミン元大統領にほかならないのだ。この小説は、アミンの主治医を務めていたニコラス・ギャリガンの視点から書かれた、地獄絵図と化した1970年代のウガンダの記録である。

   ギャリガンはスコットランド長老教会の牧師の1人息子として生まれるが、ウガンダの保健省での職を得て、故郷フォッシーミュアからはるか遠方へ出向くことになる。首都カンパラに到着した時期が政変の時期と重なり、オボテ大統領は解任され、イディ・アミン・ダダが政権の座につく。僻地(へきち)へ赴任する前に、ギャリガンは数日間だけ首都に滞在する。ところが、アミンの乗ったスポーツカーが牛に衝突するという一風変わった交通事故がきっかけで、優秀な医者ギャリガンは独裁者の勢力とかかわりを持つことになる。数か月後、彼は僻地の病院から呼び戻され、大統領の主治医に指名される。そして彼は、患者であるアミンに対する義務と、「アミンを操れ」とうるさく言いつのってくる本国政府からの圧力との、板ばさみになるのである。

   フォーデンは、ニコラス・ギャラガンの立場から、アミン政権下にあるウガンダの、恐怖の世界を案内する。独裁者を単なる怪物として描くのは簡単なことだが、著者は予想を裏切り、恐怖政治の最中のアミンでさえ、魅力的な人物として描いている。医者である主人公は語る。
 「等身大の彼と、未開社会にありながらあふれんばかりのオーラを放つ彼の存在に畏怖の念を抱かずにはいられなかった…。医者として人に力を与えるどころか、逆に、何かすさまじい自然の力が私の体に浸透していく気がした」

   ギャリガンはコンラッドの『Heart of Darkness』(邦題『闇の奥』)のマーロウ船長役をうまく演じながら、「血の川」の旅を通して、純真だった自分がアミンの片棒を担がされていることに気づき、驚愕する。これだけでも十分なくらいだが、フォーデンはさらに緻密な描写によって、アフリカの自然、政局、社会の複雑さを読者に伝える。『The Last King of Scotland』は「闇」を描きながらなお、感動的な物語である。