家族を支えるためストリート・ボクサーをやっていたZacharyは、そこで稼いだお金をもとに事業を始めて大成功を収め、並ぶものがないほどの富と権力を築きあげます。３年前に最愛の夫をなくし娘とともにつつましい生活を送っていた上流階級のLady Hollyは、ある舞踏会の夜偶然居合わせた温室で彼と口づけを交わします。動揺するHollyと彼女に強く引かれるZachary。Zacharyは上流階級のマナーやしきたりを学ぶため、Hollyは娘の将来と殻に閉じこもった生活からの再出発のため雇用契約を結びます。同じ屋敷で一緒に生活するうちにお互いどんどん惹かれあっていく２人。身分も境遇もまったく違う２人に幸せな未来は訪れるのか？
前半はZacharyの、後半はHollyの相手に対する思いの変化がとてもよく描かれていたと思います。彼女を知れば知るほど真剣に愛するようになっていくZacharyが彼女との身分違いの恋に悩み、愛する夫との思い出を大切にしながら激しいZacharyの愛情に翻弄されるHollyが選んだ道、読んでいてせつなくなるようなお話でした。また亡き夫の親友で彼女に求婚する孤独な貴族Ravenhillも注目！Lisaも彼のストーリーを考えているようなのでそれも楽しみです♪

　若くして夫を亡くした貴族出身のHollyと、貧しさの中から這い上がり莫大な富を築いたZacharyは、ある舞踏会で、アクシデントではあるけれども情熱的なキスを交わします。一瞬で彼女に惹かれたZacharyは、上流階級に参入する為のマナーやエチケットの家庭教師という名目で彼女を自宅に招き入れ・・・。
　穏やかで良き夫に恵まれ、漫然と上流階級で生きてきたたHollyにとって、Zacharyは何もかもが桁外れ。貴族にはないパワフルで危険な一面を匂わせ、精神的にも肉体的にも彼女を魅了していきます。ただ、二人の間には、身分の差と亡き夫の影が常につきまとい、なかなか歩み寄れません。二人が真に結ばれるまで時間がかかりますが、二人の成り行きが気になって一気に読んでしまいました。この物語は、この作家の他の作品「Suddenly You」の基になっているような気がします。　
　Zacharyは、少々粗暴で決して紳士とは呼べないのですが、目的に対しては一途。Hollyも、自立し新しい未来を切り開きたいという情熱を持っています。そんな二人がお互いに葛藤しつつゴールにたどり着くまでの経緯は本当に切なかったです。