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物語 バルト三国の歴史―エストニア・ラトヴィア・リトアニア (中公新書)

価格: ¥886
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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貴重な入門書だが面白くはない ★★★☆☆
出張でこの地域に行くことになったので、勉強のために本書を手にとった。バルト三国はまだまだ日本人にとって馴染みがない地域で、関連する書籍が極めて少ない中、本書はハンディな新書であり、大変重宝した。中身としても、バルト三国がたどってきた紆余曲折の歴史、地理、そしてソ連からの独立以降の新しい政治的な展開などももれなくカバーされており、取り敢えず本書を読めばこの地域についての必要最低限の知識は身に付くようになっている。

とは言え、本書は新書とは言え決して読みやすい本ではないし、面白みにも欠けている。著者はこの地域を専門に研究している学者なのだが、学者であるがためか、新書にしてはあまりにも堅い文体となっているほか、歴史的な事実や歴史的な人名についてもかなり多くを周知のものとして描いている箇所が多いのが気になった。特に人名については日本ではほぼ全く知られていないので、顔写真なり肖像画を使うなどして、より読者に効果的にインプットできるような工夫が必要だったのではないか。
よく知られていない「バルト三国」の建国までの変遷を描いた労作 ★★★★☆
学問の関心領域と言うのは、同じ時代、同じ地域に関心を持っても違うのは良く理解しています。個別細分化が進む中で包括的な歴史の記述を望むのは難しいことだと分かった上で、この労作について少し述べたいと思います。

エストニア、ラトヴィア、リトアニアという所謂バルト三国は、小国ゆえその国家や民族の実態を記した書籍がなかったようです。志摩園子氏が、実に丹念に政治体制を時系列におってその変革の時代まで詳細に述べてもらったことは門外漢にとって分かりやすく、知られていない国家の成り立ちや支配体制の変遷を理解できたのは有り難かったです。

私の関心と言えば、旧ソ連の中で、西側諸国に一番近い位置にあったとは言え、民族の誇りを胸に立ちあがったその起爆剤となる国民感情はなんだったのか、ということと、エストニア、ラトヴィアで見られるように歌謡祭での結集力はどこからきているのか、ということが本書を通読しても見えてこなかったのが残念です。政治史の側面は大切ですが、人々の営みを知る上で文化、社会事象、宗教、芸術、そして言語というジャンルへの記述がもう少しあれば複層的で多面的なバルト三国への理解が出来たのでは、と思いました。

フィンランドは、ロシアの圧政に苦しみながらも作曲家シベリウスを初代大統領にするほど結束して独立を守りました。リトアニアが歴史的にも宗教的にもポーランドに親近感を持ちながら、カトリックの存在では国家存亡の危機を乗り越えられなかった、という疑問の解消には至りませんでした。「民族のアイデンティティ」とは何によるのでしょうか。

とはいえ、中世の海上交易の頃から、ドイツ、スウェーデン、ロシアに挟まれ、建国が出来なかった国々の情勢はよく理解できました。
読み終えてもあまり記憶に残らない本 ★★☆☆☆
バルト三国に関する書籍は日本ではあまり発行されていません。そのためこの地域について学ぼうとしても、読むべき本はどうしても限られてしまいます。そんな中で、この地域の歴史について知りたければまずはこの本をおすすめします。新書なので安価で手に入りやすいからです。

この本以外に安価でいい本がないのでこの本をおすすめするしかないのですが、ただ、読んだ印象として、内容はあまり良いとは思えませんでした。というのも、通常は、筆者が主張したいこと・すべきことはパラグラフごとにまとめられるのに対し、この本ではただ「〜〜だった。〜〜だった。〜〜だった」というように同じ口調で続いており、まるで教科書のように事実が淡々と書かれているだけで、その書き方がまったく記憶に残らないものであったからです。

また、エストニア・ラトビアの二か国とリトアニアは、かなり違う歴史を歩んできているのに、それを一つの章でまとめあげて同時に論じているのは少し混乱を招きました。できれば、(特に中世以前に関しては)地域別に章を分けて論じると分かりやすかったのではないかと思います。

上にも書いた通り、歴史上の事実は淡々と述べられているので、バルト三国の歴史を学ぶ必要があるならこれを読めば一通り理解できます。ただ、タイトルにあるような「物語」というような構成とはほど遠いものでした。「読む」ための本ではなく「調べる」ための本であるように思います。
史実の書き連ねは初心者には退屈 ★☆☆☆☆
バルト3国のみならず、それらを取り巻く近隣諸国との関係までを様々な史実とともに詳しく記述されているが、それ以下でもなければそれ以上でもない。鋭い洞察力を感じる著者独自の所見にも乏しい。
バルト3国に初めて興味を持った方が本書を手にしたとすると、史実の単調な書き連ねに退屈されるのではないだろうか。
また3国の歴史が時間軸とともに同時展開で説明されている(試みられている)が、逆に特定の国に焦点があたるわけでもなく、結局従来の曖昧な「バルト3国」の印象が拭いきれない感がある。
複雑なバルト三国の歴史を平易に解説する ★★★★★
バルト三国はリトアニア、ラトヴィア、エストニアからなる。リトアニアとラトヴィアはインド・ヨーロッパ語族のバルト系の民族であるが、エストニアは隣国フィンランドと同様ウラル・アルタイ語族のフィン・ウゴル系の言葉を話す。しかし政治的には古来からリトアニアがポーランドと結んで「リトアニア大公国」を形成するなど、民族自主の歴史が強いのに対して、言語系統を異にするラトヴィアとエストニアが「リヴォニア」と呼ばれてドイツ騎士団、スウェーデン、ロシアなどの外国に従属した歴史が長い。三国が独立したのは第一次世界大戦後であるが戦間期にスターリン・ソ連に併合されてしまった。ソ連崩壊後三国は再独立し、近年やっとEUとNATO加盟を果たし、西欧世界の仲間入りを果たした。本書はバルト地域の少数民族がドイツ、ポーランド、ロシアなどの大国に挟まれながらリトアニア、ラトヴィア、エストニアという三つの国家を形成する複雑な過程を丁寧に追っている。