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物語チェコの歴史―森と高原と古城の国 (中公新書)

価格: ¥886
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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近隣諸国に翻弄されながら真面目で真摯であり続ける国 ★★★★★
本書はチェコの歴史を語るために章別に人物別に列挙する方式をとっている
同じ東欧の隣国ポーランドやハンガリー史も複雑であるため、これらはチェコに関連する最低限の記述しかない
(神聖ローマ帝国、ハプスブルク家に関しても少ない)

が、扱う人物は魅力的で、真面目で真摯であり続けた。地積学的に微妙な位置にあるチェコが直面する難題に対して。
自分たちより遥かに強大な、神聖ローマ皇帝、ハプスブルク家、ハンガリー、邦内のドイツ民族、ユダヤ民族に対して。
チェコの国民も同じくそうだった。

ところでキリスト教改革派の元祖フスを生み、三十年戦争の戦端を開いたチェコの国教がカトリックであるのは意外だった。
でも読んでいくうち、真摯で真面目なこの国が(領主ハプスブルク家が信奉し続ける)カトリックを信仰し続けるのは当然なのだと判った。

とりあえず読むとチェコに惚れる本です。
プラハだけに偏らないチェコの歴史 ★★★★★
人物から歴史を見るという方法から、チェコの中世からの歴史を、ドラマのように見られます。
そして、著者は「記述がプラハに偏ってしまった」と書いてありましたが、この本のボリュームで、十分にモラヴィアの方の歴史も書いてくれました。チェコには、プラハだけでなく、歴史上大切な都市がもっとあるのです。
近代史の方は、著者が言う通り、ページ数に限りがあり、物足りなさを感じますが、この本をきっかけに、さらにチェコの歴史を探っていきたくなります。

チェコに来る前に、この歴史の本を読んでいれば、ボヘミア地方に偏らず、モラヴィア地方にも足を伸ばすきっかけができるはずです。
ペルンシュタイン城や、ティシュノフの修道院等も、この本を読んでいけば、「いろんな人間ドラマがあった」と興味深く見れます。

この著者の「チェコは、ずっと服従に耐えてきた国ではない」という見方も、感情的に歴史を見ていないところが素晴らしいです。
参考文献として、著者のコメント付きで色々な本が紹介されているので、チェコの歴史の入門書として最適。
小国ながらも強かに生きるチェコの歴史に魅了される ★★★★★
 東欧の小国のイメージがあるチェコについて、通史を書くのは非常に難しいだろう。中世以前のことは余りにも不明点が多いし、中世以降は神聖ローマ帝国、オーストリア・ハンガリー二重帝国の一員であった。近代ではチェコスロバキア共和国成立、ナチスドイツによるズデーデン割譲、チェコ占領、そして冷戦時代に再びチェコスロバキアとなるも、現在はチェコとスロバキアに分かれてEUに加盟するといった複雑な歴史を抱えている。

 本書では第一次大戦以降については余り頁を割かず、中世から近代までの歴史を特徴ある君主、あるいは宗教者、市民の生き様を通してチェコと言う国を描いている。あまりにも複雑な過去を持つこの国について新書でまとめようとすれば、これも1つの方法であり、意外なことに、王朝の交代史を読まされるよりも面白い。

 宗教的にもカトリックとプロテスタントの対立だけでなく、カトリック批判で有名なフスの立場、カトリック内での立場争いもあったとなかなか楽しく読めた。
ヤン・フスを生んだ土壌 ★★★★☆
スメタナのプラハ、ドヴォルザークのプラハ、チェコ・フィルのプラハ(小林研一郎はかつてチェコフィルを率いていた。それはWBCの優勝をも凌ぐ快挙だったのではないか!?) 
、マンガ『モンスター』のプラハ、そしてやはりヤン・フスのプラハ。チャペックのプラハ。クンデラもハヴェルもそう。何といってもモーツァルトが愛した街プラハ!! モーツァルト存命中、これほど歓迎してくれた街も稀有だったらしい。輝かしく、爽快な『プラハ』交響曲、『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』!!!


チェコスロヴァキアがチェコとスロヴァキアに分離して、はや10余年。プラハの街への憧れを抱く人は少ないないだろうし、評者も勿論プラハ=チェコであるが、このコンパクトな1冊はプラハにとどまらないチェコの複雑な経緯と翻弄された人々の歴史を描いてまこと簡潔、簡明だ。

同新書の物語歴史シリーズは、概ね好著が多く、出れば必ず買ってしまう。書店では常備すべし。

ところで、フスについての手に取りやすい本はないものだろうか?
本書に紹介されているフスの生涯を辿るだけでも、興味をそそられる。神学論争のあれこれはよくわからないが、いまこそフスを待望したくなってくる。
東欧の歴史は面白い。 ★★★★☆
 未だに「チェコ=スロバキア」だと思っている方でも安心して読めるチェコの歴史。
 東欧世界はいまいち馴染みが薄い印象がある。学校教育でチェコといえば、歴史や地理ではなく、音楽の時間にスメタナを知ったぐらいである。
 しかし、本書を読めば、チェコ・プラハが豊かな歴史を持つ、欧州の一大中心地のひとつであり、第一次世界大戦の前まではウィーンと並ぶ欧州世界の一方の極といえる存在であったことがわかる。
 冒頭では東ローマ帝国と辺境国チェコとの交流から始まり、中世のチェコ・プラハの発展の歴史が語られる。ドイツの神聖ローマ帝国の東端にあたる大国として皇帝ルドルフ1世との抗争やカール4世の時代のプラハの繁栄など、この国が欧州の中心であった時代のくだりは、チェコに対する認識を改めさせられる。
 もうひとつはフスに代表される宗教戦争の舞台であったこと。東方正教とカトリックの狭間の地であったことから、この国が文化・宗教においても、ひとつの拠点であったことがうかがえる。我々が知っている東欧の小国と古都プラハという落ち着いた、有る意味地味な印象は、ごく最近のイメージであると言える。