ただ作者がどこかで言っていたように自分たちには戦前の詩人のような詩は切実さにおいて書くことはできない、そんな平和な世の中に生きている、ということは間接的に伝わってきました。ある意味革新的、勇気あるなあとも思います。
しかし、そういった事前の了承がなければならないものはいかがなものかとも感じ、詩というものには説明責任がつかないこと、できればこの本のなかの詩の意味を聞いてみたいけど、聞いてしまったらそれはもう詩ではないんだな、と思った次第です。
わたしには、理想のオンナノコ像があるのですが、
淡々とウエイトレスをしながら、冷静に世界をみつめている、
主人公の「まみ」は、限りなく、それに近い。
タカノ綾のイラストとのコラボレーションも面白い。
ある意味、実験的な言葉の世界に、
全然負けていないのがスゴイです。
返事がなくても、送りつづける言葉。
それはやっぱり、メールじゃなくて、手紙がいい。
存在感が全然違うし、秘め事っぽくていいと、
「まみ」ほどではないけれど、
手紙魔のわたしは思うのです。
はじめは「うん?」「は?」と「まみ」の行動にとまどい、でもだんだんと「まみ」の輪郭がくっきりしてきて。一見かわいらしげなことばとイラストの中に、ぎょっとする内容のものが混じっていてどきどきします。あとがきもおすすめです。
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、きらきらとラインマーカーまみれの聖書
夢の中では、光ることと喋ることはおなじこと。お会いしましょう。
―いかがでしょうか?
それでも、挿絵がふしぎ少女「手紙魔まみ」を心地よく連想させてくれ、「ほむほむ」の短歌がさらにそのまみのイメージを膨らませてくれ、、、という、ふしぎだらけで、でもとても素敵な本です。
もしも短歌初心者さんがよむならば、「ええ~~~っ!」とびっくりすることうけあい。お試しあれ♪