「陪審制」の熱狂的信者の書籍です。
★☆☆☆☆
「陪審制」の熱狂的信者の書籍です。そのためか、それ以外の制度、「参審制」、「裁判員制」に敵意をむき出しにしてます。制度は各国の長い間の歴史があり、どれが優れているかはそう簡単には判断できないはずです。日本でこれから始まる「裁判員制度」にも何がしかの良いところがあるはずです。読者は専門家に何が良くて何が悪いのかの解説を期待しています。
にもかかわらず、一方的な断罪ではとても<後気味が悪い>です。つまり、公平性に欠ける書籍と言わざるを得ません。
批判本からはえられない貴重な情報をふくむ
★★★★☆
裁判員制度に批判的な本がおおいなかで,この本はむしろ積極的である.著者は陪審制度推進派であり,あとがきに「投書の理念を失い,国民の司法参加の理想からどんどん後退していくこの制度の制度設計の現実に落胆し」と書きながらも,陪審制度と裁判員制度のちがいや日本における戦前の陪審制度の歴史と裁判員制度導入の経緯などを冷静に分析し,将来の陪審制度確立への一里塚として裁判員制度をみとめている.2004 年に出版された本だが,批判本からはえられない貴重な情報をふくんでいる.
入門書と思って買わない方がいいです。
★☆☆☆☆
第1章は、ストーリー仕立てになっていて、なかなか読みやすくていいなと思いました。
しかし、その後延々と、陪審制度がいかにすばらしくて、今回の制度がいかに駄目かという自説が述べられていてかなりうんざりします。
第3章の「なぜ陪審制度ではなく、裁判員制度なのか」では、最高裁や法務省、与党などが陪審制度に反対した経緯や、そのことに対する批判が50ページにもわたり書いてあります。
それに対して、一番知りたいところである、裁判員制度の概要は、4章のP133〜P140に箇条書きで書かれていてがっかりしてしまいました。
この部分の丁寧な説明をしてくれている本だと思って買ったのですが、間違いでした。
入門書として買う人向けの本ではなく、陪審制度がいかに優れているかを知りたい人向けの本だと思います。
陪審制度絶対主義からみた裁判員制度
★★☆☆☆
いわゆる「裁判員制度」の問題点について、徹底した陪審制度導入推進論者として
概説した入門書である。
裁判員制度について全く無知であった私にとって大変参考になった。
なぜなら、本書を読んで
1.シュミレーション仕立ての話で、本制度に具体的な実感を持てた。
2.裁判員制度と他の市民参加制度および現行制度との違いが有る程度つかめた。
3.本制度の成立過程やその内容の概要と問題点がある程度つかめた。
4.本制度実施に伴う疑問や不安も一定程度解消された。
からだ。
しかし、著者の以下のような見解には必ずしも同意できない。
1.裁判官は等しく高額所得者の子弟で、均一な思考形式を持った集団である云々。
2.裁判官と参加した市民との意見の不一致率が高いことを持って、陪審制が最も
優れた制度である根拠になり得る?
3.裁判員に選定された場合、例えば自家営業は店を3,4日くらいは休業すべし、
田舎の開業医はどうせ365日働いているわけではないので、3,4日は休診にする
か代診を頼めばよろしい、裁判員に選ばれるのは名誉なことだからと平気で言って
のける感覚。
もちろん、死刑判決後再審無罪や世論・世情に合わない判決が時に見られることも承
知している。しかし、これらは一人裁判所や裁判制度にその責任を帰することができ
る問題なのだろうか。原告人あるいは被告人側の立証技術の未熟さや法律そのもの
の不備による場合は皆無なのだろうかという疑問を感じた。一方、著者によれば、陪
審制度下では、被告人に圧倒的な不利な事例でも立証能力の高い弁護人により無
罪を勝ち取れる可能性が出てくるし、市民はこれを受け入れることを要求されるとの
こと。だとすれば、逆の場合も当然その結果を受け入れなければならないし、何も陪
審制に限った話ではなかろうと言う気がする。
いずれにしろ、情報リテラシーの観点からは、他の本を併せて読むことが必須であ
る。
入門としてはオススメできません。
★☆☆☆☆
本書は,筆者のアメリカ留学体験から得たであろう,「陪審制度絶対主義」に貫かれた本といわざるを得ません。
参審制に近い裁判員制度は欠陥・劣悪といわんばかりですが,陪審の行われているアメリカの司法制度が参審のフランス・ドイツに比べて優れているという判断が公正・客観的なものであるとは到底思えません。
また,刑事裁判官に対する異常なまでの偏見(敵意?)は尋常なものではありません。なんだか,これを読むと,素人の裁判員をバカにして人間とも思わない,冷酷かつ偏屈・傲慢なモンスターしか裁判官にはいないように見えてしまいます。
が,現実には全くそんなことはありません。
裁判官も人間ですから性格の悪い人もいるでしょうが,普通の人が多いですし,性格のいい人ももちろんいます。
もちろん,私も裁判員制度が完全な制度だとは思いませんし,学者が,制度に対して批判を加えるのを否定はしませんが,陪審制度でなくなったのは,法務省や,最高裁の陰謀だと言わんばかりの筆者の主張は,入門書としてふさわしいとは思えません。