哲学を立体的に学ぶ
★★★★★
「生活様式が激変し対立が生じたとき、問題の全貌をパッケージとして可視化、言語化して、調整する試みはどうしても必要であり、それを行うのが哲学p.218」と哲学の有用性を説き、「生活が生まれる現実世界を一歩外から眺めようとする発想法p.14」や「自分とか特定の個人に限定されることなく「すべて」にあてはまる何かを見いだそうとする志向p.14」により、「〜とは何か。(第一段階の問い)p.14」「『それをわたしは知りうるのか』『わたしとは何者なのか』p.15(第二段階の問い)」『そもそもなぜそのようなことを問題にしていたのか』p.127『求め、望んでいた答えが手に入らないとわかったとき、どう気持ちを切り替えればいいのかp.15』(第三段階の問い)」といった問いを考えていくのが哲学であるという説明。プラトンのイデアと現実の二項対立を哲学的思考図式1p.32、デカルト主義の「語り、認識する主体/語られ認識される対象」を哲学的思考図式2p.63とし経験にあらかじめ備わったカテゴリーによって、経験対象の存在と主体の成立を解明するカントのやり方を哲学的思考図式3としp.89、超越的実体を否定し、すべての差異が緒力のせめぎあいによって生まれる流動性を肯定するニーチェの洞察を哲学的思考図式4とする整理。アンセルムスらの概念実在論とロスチェリヌスの唯名論の普遍論争などの中世哲学がその後の哲学の展開にどうつながっていったのかの解説p.40-50。いずれもとてもわかり易く、すべての哲学をわたしたちに身近なものにしてくれる。最後の文献紹介も良い。
非常に聡明
★★★★☆
哲学が何を問題にしてきたかということを軸に、西洋哲学史を古代〜近代まで俯瞰する。哲学史をこれだけ薄い、それが非常に聡明で驚く。文体は平易だが、初心者むけに哲学そのものを問うものではない。最初の一冊目というより、断片的に知識のある人が、ちょっとした知識の交通整理をするのに役立つという感じだ。
いいは、これ! 使いやすい辞書、年表。
★★★★★
自然科学にしろ社会科学にしろ、そのモノの見方の根源を辿るとき、哲学思想が深く関り、
それを門外者、特に一般学習者が歴史的背景を含めて紐解いていくのは容易ではありません。
本書では「哲学的思考図式」と題する4つのポンチ絵を含め、
基本年表に相当する5つの簡単な絵図が西洋哲学史の全体観を捉える助けになります。
現代哲学のパートではさらに基本年表を補完する3つの抜き出し絵図があり、
私を含め他領域の学習者が現代思想の流れを理解するのに非常に使いやすい構成です。
私(社会人学習者)の場合、年代や関連する歴史的トピックスを本書の絵図に書き加え、
マップのカストマイズとバージョンアップをして使っています。
わかりやすいが
★★★★☆
哲学がどのように始まったのか、そして現在までどのような哲学が行われてきたのかを概観するための本。
ほとんどが西洋哲学についてだけど、少しだけ諸子百家等の東洋哲学にも触れている。
また、「なぜ人を殺してはいけないのか」や、ロールズの正議論等についてもごく簡単にだが触れている。
ということで、出来る限り様々な思想を紹介しようとしているのはわかるけど、やはり新書サイズでそれをやると一つ一つの思想の内容が薄くなってしまっている。もうちょっと詳しく書いていて欲しいところが書いていない。仕方ないとは思うけども。
著者は別に「図解雑学 哲学」(ナツメ社)を書いているが、内容はそれと全く同じだと思ってよい。むしろそっちの方が絵入りでわかりやすいぐらい。ということで☆4つ。
流れを概観
★★★☆☆
古代ギリシャに始まる西洋哲学の流れを、発想や問いの立て方である「思考図式」という観点を提示しながら説明し、現代思想までカバーしているが東洋思想は詳しくない。ざっと哲学の流れを見るにはいいかもしれない。ちなみに、タイトルに「マップ」とあるが、思ったほど図は多く出てこなかった。