座席指定がない、ファーストクラスがない、機内食がない、航空券がない、とないないづくしながら、格安運賃と最高の顧客サービスを実現しているサウスウエスト航空。本書は、1971年にわずか3機のボーイング737機でスタートした同社が、アメリカの航空業界に革命をもたらし、急成長を遂げた秘密を詳しく紹介している。
サウスウエスト航空が成功した要因には、まず、飛行時間1時間程度の短距離路線というニッチ市場だけを狙い、コストを徹底的に削減して最大の利益を実現したことがあげられる。さらに、徹底した情報伝達で会社についての正確で十分な情報を与え、従業員が自信をもって顧客に適切な対応ができるように利益分配制度を採用することで、従業員ひとりひとりが経営者の立場で行動している。また、従業員とその家族を会社という大家族の一員とすることで、人間関係を強固にしている、といったそれまでのアメリカ企業の常識を破るような「破天荒な基本戦略」でビジネスの基本を変えたことにある。そして何よりも、創業者の一人であるハーブ・ケレハーという常識にとらわれない優れたリーダーの存在が不可欠だったのである。
トム・ピーターズの序文が、本書の魅力と意義を伝えてくれている。「今年はビジネス書を1冊しか読むひまがないという人には、ぜひ本書を推薦したい」。(坂井 誠)
社員が楽しいとサービスもよくなる
★★★★★
サウスウエスト航空のサービスのよさは有名だ。本書を読み終えて、その秘密は社員自身が楽しく働いているところにあるとわかった。
社員の服装は自由。規則に威張られない。やりたいようにやってよい。楽しく働くこと。
そのほか簡単なようで意外と実行できていない大切なことが盛りだくさんに述べられている。自由奔放でアメリカ企業らしい経営は、私たち日本人がもっと見習ってよいのでは。
視点の大切さが伝わった
★★★★☆
誰のために何をするべきなのか
そのためにどんなことをすれば実現できるのか
など柔軟な視点と思考の大切さ
そして実行し、実現するところまでの
やりきる大切さを教わりました!
パラダイムの変換を迫られる企業への福音
★★★★☆
SW航空とはアメリカの低運賃国内短距離便に特化した航空会社です。アメリカ
国内線ですのでご存じない方も多いかと思いますが、リーダーシップ、マネジメ
ントの本を読んでいくと、自然と行き当たる企業です。 初出は1997年と新しく
はないのですが、内容は斬新で刺激的です。従来のMBAホルダーに権限を集中させ
て、株主の利益を第一に考えるアメリカ式の経営が機能しなくなった現在、企業
経営もパラダイムの変換に迫られています。その一例として紹介されているSW航
空の経営手法は働く従業員にフォーカスしながらも競争に勝ち抜くというユニー
クな手法です。
その意味でSWのマネジメントが成功の解なのでないのかもしれませんが、
実践していることは正攻法を愚直に継続する忍耐と、仕事を人生の一部として楽しみ、
成功を分かち合おうという企業文化の育成と持続が鍵になっているのでしょう。
起業家がSW航空の経営手法を実践しようとするのは、よほどの勇気と忍耐力と
信念が必要だと思いました。しかし個人の仕事に対す考え方には大いに参考になります。
仕事というととかく深刻になり、心身を損ねてしまうケースが多い昨今、
自分自身の生産性を上げる方法のひとつとして知っておいてもいい考え方だと
思います。こんな会社であれば私ももっとがんばれてしまうのではないかと
思ってしまいました。
さすがに古典になりつつありますが,すばらしいです
★★★★☆
1997年に日本語版ができているので,さすがに10年経っているのですね.
その間にアメリカやヨーロッパでは低価格戦略の飛行機会社が出てきて,日本でもスカイマークエアラインや最近はスターフライヤーが出てきました.
ご存知の通りサウスウェストは順調に業績を伸ばし,まねをした航空会社の多くは,倒産してゆきました.日本でもスカイマークが一旦倒産しましたね.
10年を経て,色々な研究がなされているのでそれらも合わせて読むことが良いかと思います.もちろん根底に流れる熱意は変わらないので,それを読むことはすばらしいと思います.
日本的経営礼賛に一石を投じる本
★★★★★
「米国企業は株主主権、日本企業は従業員主権」などという薄っぺらな
固定観念が、粉々に砕け散る本だ。読んでいて小躍りしたくなった。
口では社員重視を唱えながら社員を過労死させている経営者に対し、
疑問と胡散臭さを感じている全ての人に薦めたい。
SW航空の経営スタイルは、日本企業から見ればまさに「破天荒」だろう。
本物の従業員主権を実現させるには、
岩のような意志とコンピュータのような頭脳と菩薩のような度量が
経営者には必要である、ということを痛感させられた。
ついでに、何でも面白がる子供のような心も。
経営責任回避の口実として従業員主権を唱えるような三流経営者とは、
器のサイズがケタ違いなのだろう。
ずっと手許に置いて、じっくり何度も読み返したい本である。
(そもそも、一気読みするにはブ厚すぎる)
このところ、著名な若手経営者の逮捕が相次ぎ、彼らが株主主権を前面に
押し出していたことから、(彼らは日本人であったにもかかわらず)
米国型の経営手法を糾弾し、古い日本式を礼賛する声が強くなっているが、
そういう考えを持つ人にこそ必読の一冊なのかもしれない。