『~日曜日』ではチェコという中欧の国から、極東の日本に対する
言及があります。ちょこっとだけ。
そこが日本人としてはミソかもしれません。
あの関東大震災の衝撃を躍動感溢れる文体で表現しているものは
未だかつてお目にかかったことがありません。
(もちろん私的個人的体験に基づきますが)
話し言葉で綴った技量の高さうんぬんと言えますが、ここではぜひとも
スキル的なことは一切廃したい。
彼の著作を読むたびに驚かされることですが、
その平和的思想は何十年たった今でも決して色褪せることが無いのです。
二十世紀という時代に彼が望んだ世界と全く違う歴史を知る私たちは
平和な時代の軽快な文章の一つ一つに痛みを抱きながら、
時代が変わろうともなお、願いつづけたい彼の普遍的な理想に
手を重ねて賛同したい気分に溢れてしまいます。
高カロリーで嘆いていたチェコ料理も戦禍のなかでは
夢のような存在であったことを彼は知りません。
この道はいつか来た道、このような台詞を吐いてはならないと
ライトなエッセイに誓いたくなります。