最高スケールの海洋サスペンスアクション
★★★★★
とてもすばらしい作品です。まさしくもこれは問題作ともいえるし
<ホワイトアウト>につづいて冒険小説の傑作ともいえます。<ホワイト
アウト>は雪山の場面が浮かんできてスリルが楽しめますがこの作品は
海の場面が浮かんできて楽しく読めます。<ミッナイトイーグル>と
比べるとこの本と<ホワイトアウト>などのほうが秀作でした。
主役も敵も、正義も悪も無い
★★★★★
僕は普通、本を読む時はキャラの誰かを好きになり、そのキャラを中心に読み進めます。しかし今作ではそうではなかった。誰にも感情移入できなかった、というのではなく、キャラの誰もが好きだった。
解説でも触れているが、この作品に出てくるキャラは、みんな迷っている。自分の信念に従って行動する者も、それに振り回される者も、皆が迷っている。
その中でそれぞれが1つ1つ決断し、もがき、苦しみ、進んでいく。
この作品の本質はそこにあると、僕は感じた。自分はどれだけ考えているだろう?戦争についてだけじゃなく、日常、自分はどれだけ考えて行動しているか。それを問われている気がした。
相変わらずかっこよくて天才的な若者、というのが福井作品の常として登場するが、他の作品と違い、彼すらも主役にはなっていない。皆が主役で、皆が正しい。正しいと信じている。それだけの人物像を掘り下げたのだから、この作品は長いが無駄は無い。
福井作品にはキャラ設定に批判が多いが、個人的にはとても好きである。この作品は戦争の評論ではなく、エンターテイメントなのである。「難解な文章と専門用語で全然芯の無いストーリーをごまかしている」という批判も目にするが、無知な自分には分からない。しかし、素直に楽しめた。それに、これだけ問い掛ける作品を書ける小説家が、どれだけいるだろうか。
批判するのは簡単である。しかしそれで得られるものは何も無い。1つ1つの作品から、何かを読み取り、考える。そういった姿勢を教えてくれたのも、この作品だ
正直、胸が熱くなりました。
★★★★☆
このテーマで書かれた国内の冒険小説としては、大成功作だと思います。今の日本人はどんな状況なら銃を取るのか、これをクリアした時点でこの本はトンデモ本にならずにすんだと思います。主人公は日常に追われ「国」を忘れた現代人を見事に体現しているように思いました。作者の国防や外交に対する陰謀史感的な解釈に、とやかく言う人もいましたが、敗戦国に戦後生まれてしまい、臭い物に蓋的な歴史教育しか受けなかった現代人の、忸怩たる思いをエンターテイメントとして昇華しようとした作者の勇気は評価に値すると思います。ただ、戦争経験のない人間ほど右傾化しやすい、と言う自戒も忘れてはいけないとも思いますが。それはさておき、読んでいて、鉄の塊に心が躍り、犬死にしていく男達に涙を流しました。ワイルドセブンやペキンパー、作者も好きなのかなあ。
色々言う人はいますが
★★★★☆
自分は面白かったと思います
あれだけ日本と「いそかぜ」にいた人物を振り回した「あれ」がそうなるとは…と思いました
米国を黒幕のようにする事を幼稚と非難する人もいますが所詮は小説
娯楽作品なのですから目くじら立てるようなことではないかと
エピローグは感動的でしたが物語終盤に何故かひきこまれませんでした
何が足りないかは分かりませんがそういう事がありましたので星−1つ
テンポが良い
★★★★☆
この著者の本は『川の深さは』を読んだときも思いましたが、
漫画を読んだ後のような読後感があります。
人物設定が漫画に出てきそうな設定なんです。
人物描写は変に長たらしくはなく、ストーリーもテンポ良く進んでいきます。
人物が多いのでかなりの想像力が必要ですが、この手の小説は大抵登場人物が多いので
それに慣れてさえいれば問題はない程度です。
いろんな見解はあるでしょうが、国の体制、個人の思いなど複雑にからみあって
進んでいくので、どんどん読めます。
現実離れしているとか言い始めるとキリがない。小説なんだから。
エンタテイメントとして読めれば面白いですよ。