一気に読めます
★★★★☆
分厚い本ですが、一気に読めます。私は図書館で借りましたが、2300円払って買っても損した気分にはならないでしょう。
確かに、旅客機爆破を利用してグソーを受け渡す、とか不死身に近い女性工作員、とか、もうだめだ、というところで危機が去る・・・、などというハリウッド的な要素が満載で、それらがストーリーのリアリティーを損なっている点は否めません。しかし、全体的には「ホワイトアウト」を読んだときと似た気分で読めました。
国家、家族、仲間のどれが一番重要なのか?自分の頭で考えること。
★★★★☆
Amazon.comでの評価が非常に高く、「沈黙の艦隊」などの軍事・政治パワー
バランスなどが好きで読み始めました。
確かに最初は登場人物の生い立ちなどの説明が、交互に紹介されてなかなか
先にストーリーが進まないのにいらいらします。上巻の中頃から物語は急展開
を迎えます。
戦闘シーンは非常にリアルで破綻のないできばえで、非常に読み応えがあ
ります。途中にどんでん返しもあり、何が真実かが分からなくなってきます。
ただ、心理描写がもう少しかと。確かにバックグラウンドで、色々と説明を
して登場人物の行為を正当化しているのだけれども、あともう一押し大きな理
由がなければ、ここまでことが大きくならなかっただろうと思ってしまい、こ
の辺はリアリティが薄いと思いました。
筆者は、合理的に「そうだろう、そうなるだろう」と説明をしているのは分か
るのですが、下巻に読み進むうちに、やっぱりそうはならないだろうと思ってし
まうシーンが出てきました。
自衛隊、北朝鮮問題、国防問題、政治など現実にあり得ることをシュミュレー
ションできます。もし自分が登場人物の一員だったら、どう行動するか?と自分
に自問自答していました。
国家、家族、仲間。どれが一番重要なのかを、自分の頭で考えないといけない
と思いました。
日本という国を考え直す
★★★★★
福井晴敏氏の長編小説です。
ひとりの防衛大学生の論文から始まるこの話は、防衛省、非公開情報局、アメリカ、北朝鮮の思惑が複雑に入り組み、決して交錯するはずのない人間たちの人生が自衛隊を部隊に入り混じっていきます。
窮地に追い込まれた日本人の見せる勇気、人情、理屈を超越した熱い思いが溢れてくる一冊です。
テロは自分たちにとって無縁なものではない―。平和に浸りきっている私たちの頭を一蹴するものではないでしょうか。
今の世界の在り方、日本の置かれた現状、いつ何が起こってもおかしくないこの世界。私たちひとりひとりが「平和」や「日本」についてもう一度よく考え、何をするべきか、これからどう行動してゆけばいいのか、今だからこそ深く考える必要があると思いました。
また、登場人物の言動についても感動させられます。
それぞれの人生の暗部、寂寥、届きそうで届かない思い。そういったものが関わり合って、彼らの人生を大きく変えていくのです。
涙なしでは読めない、すべての日本人に読んでほしい素晴らしい物語だと思っています。
傑作中の傑作
★★★★★
映画では殆ど描かれていなかったいそかぜ事件前の
例えば田所の描写であるとか、それぞれの所要人物の生い立ちであるとか
いそかぜ事件そのものも然ることながら
そこに至るまでの物語も非常に素晴らしく
映画を見て「ん?」て思った人にも、是非手にとってほしい作品です。
映画を見てからだと、人物が思い浮かぶので読み易くもなると思います。
いそかぜ事件前の描写だけでも物凄い量で
いよいよいそかぜ事件が始まる頃には、艦内の日常が続いてくれれば・・・とも思い
散ってゆく命に悲しくなります。
後半は面白いけれども…
★★★☆☆
後半の艦内に渦巻く陰謀が見え隠れした辺りは話の中にグッと引き込まれていきました
しかし、本筋に入る前の人物紹介や細かい場面の切り替わりで集中力が切れたりもしました
一人一人の人物像の構築と様々な事情が織り交ざった結果、イージス艦乗っ取りといったところへ行くのでしょうが…
少々長すぎる感は否めません