本書では、日本人ばかりでなく、世界中の人々が忘れてはいけない日・1945年(昭和20年)8月6日についての記述があります。
私のような若輩が持っている「あの日のできごと」についての知識は、映像ないし伝聞で得たものですので、たかが知れてます。
そんな私は、本書における「あの日のできごと」についての詳細な記述に圧倒されました。
読んでいて、人々の息遣い、一瞬一瞬の風景の変化等々を直接自分の肌で感じているような気さえしてきました。
この部分はノンフィクションだと思います。
一方、その周りで展開される物語はもちろんフィクションです。
フィクションの中にノンフィクションがうま~く織り込まれています。
そのため、読者に対して投げ掛ける『何か』がより鮮明になってくるような気がします。
福井晴敏氏の作品全般に言えることですが、読んでいてドキッとすることが本当に多いのです…
それは、誰もが本来、目を背けてはいけないはずなのに、見ない振りをしがちな問題に正面から一石を投じているからだと思います。
福井晴敏氏の織り成すノンフィクションとフィクションの絶妙なハーモニーを是非味わってみてください。
ソレデハ…