瞳、輝く −アジアの光と影−
★★★★★
アフガニスタン、インド、インドネシア、パキスタン、チベット、マレーシア・・・
遊牧民、労働者、炭鉱夫、少女、学生、僧侶、老人、子供・・・
濃厚で、色鮮やかで特徴ある色彩のポートレート写真が並んでいる。
笑顔でもなく、悲しい顔でもなく、怒った顔でもない。
強いて言えば穏やかな顔と表現すれば理解して貰えるだろうか。
そして何よりも瞳の輝きが美しく、力強く、誇り高いことが、
どの顔にも共通している点だ。
自分の無知をさらけ出すことになるが、Steve McCurry(1950-)はマグナムの
正会員で国際的にも著名なフォトジャーナリストらしい。
名前からしてMc+Curry(カレー)だから、
取材対象となったアジア地域に魅せられるものがあるのだと想像できるし、
彼のレンズを通してアジアの抱える問題を見せてもらえた。
彼のレンズは、不安定な政治情勢、内戦、悲惨、貧困を一切写さないが、
ひとりひとりのポートレートを眺めていると、それを思わずにはいられない。
経済発展や平和から取り残されたアジアのあることを。
そして絶望ではなく、瞳の輝きに勇気と希望をもらった。