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ランド 世界を支配した研究所

価格: ¥2,200
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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アメリカ的合理主義・論理主義の一端を理解するための書 ★★★★☆
コンピューターで有名なフォン・ノイマンから、ネオコンで有名なラムズフェルドやウォルフォウィッツまで、多くの研究者・政治家を生み出したシンクタンクをめぐって、いろいろな話が展開し、十分に理解するのは難しいですが、中心となるのは、合理主義に徹して問題解決を図るという考え方。

ランドのようなシンクタンクで合理的・論理的に考える人達が、時の政権の中枢に入って、政権運営を行う。それは、ソ連を崩壊に導くような強みにもなり、はたまた、イラク戦争のようにとんでもないことを引き起こす弱みにもなることも、感じ取ることができます。

本書により、アメリカ的合理主義・論理主義の一端を理解することはできました。
アメリカの強さの根元であるシンクタンク ★★★★☆
 RAND(Research ANd Development)研究所。そんな何の変哲もない名前の組織は通常存在しない。何らかの特殊業務を行う場合を除いては。ランド研究所は第2次大戦後に、ソ連に対抗するために効果的な戦略空軍基地のあり方を研究するために生まれ、現在に至る。

 ランドの基本は数値的・合理的・実証的主義である。人間性までも数値化する。数値化できない物は無視し、物事を単純化することで理論を生み出し、政策に関与してきた。ランドが生み出した理論だけでも、ゲーム理論、モンテカルロ法、フェイルセーフ、システム分析、全面核戦争に至らぬための限定戦争(付随してカウンターフォース)などがある。

 名の知れた在籍者だけでも、原爆開発やゲーム理論を生み出したフォン・ノイマン、後にハドソン研究所を設立するハーマン・カーン、軍事革命理論(RMA)を体系化したアンドリュー・マーシャルなどがいる。本書では、核戦略家のアルバート・ウォルステッターを中心にランド研究所とアメリカ情勢を解説している。

 ランドが取り組む課題は、戦略空軍→空軍→国防総省→民政問題→外国の民政問題と変化するが、軍や政府との強力な関係は続いている。共産党ハト派アイゼンハワー政権の下では冷や飯を食わされていたようだが、民主党タカ派のケネディ大統領が誕生すると一気にランド関係者は政権に入り込む。現在は、ランド出身者かその薫陶を受けた者が党派を超えてタカ派として政府の要職に就いているといっても過言ではない。ラムズフェルドやコンドリーザ・ライスが代表例である。アメリカ世界戦略の理解について欠かせない1冊である。
概説にはなるが、エピソードが細切れ過ぎるので ★★★☆☆
 シンクタンクの元祖、未来のノーベル賞ホルダーが切磋琢磨した場、アメリカ
政界向け人材供給源(結果として、時の政権への(当然、その時々で程度の差は
ある)政策にも関与している)、ネオコンの源流・・・となっているランド研究所
約60年の歴史に迫った一冊。

 ランド研究所が何故に出来たのか、というところ(戦争を如何に効率的に行う
か、という命題の研究だった)から、ウォルステッターの登場と隆盛(アメリカ
の核戦略の主流を担った)、ベトナム戦争にどう絡んだのか、空軍依存から民間
プロジェクト受注への転換(医療保険制度やニューヨーク市との合同事業)
そしてネオコン主流派を輩出した現代までを400p超で描いています。

 しかし、前述したとおり盛りだくさんのエピソードです。なのに各章は平均20p弱
短いものだと10p未満もあります。となれば必然的に一つ一つのボリュームは
小さくなってしまいます。

 ランドの研究、若しくはランド出身者(一部関係者)が、政策立案に関与・
政策当事者になったことはこの本から読み取れるのですが、それが実際のところ
何処までの影響力を持ったのか?という点については、今一はっきりしない感を
受けるのです。

 研究の副産物であるゲーム理論や囚人のジレンマ等、ランド研究所の功績
(そして負の部分=ベトナム戦争推進など)を一気に拾う、という点では読む
価値もあるのですが・・・何となく中途半端な感を否めないのも事実なのです。
大黒柱のない、2X4工法で構成した様な作品 ★★★☆☆
 第二次大戦後に、アメリカ空軍の理論的主柱となるために創設されたシンクタンクの歴史と関連する人々の行動を羅列した作品。ランドが空軍の下部組織的なシンクタンクから始まり、独立し拡大していく過程で発生した内部対立を原動力として、一部の研究者が政権に入り逆に空軍の上位に立ってランドに仕事を発注させるようになる。しかしこれは自らの仕事を安定供給する方向で報告書を作成することにもつながっていく。そういったところは読み取れるのだが、著者が自分のどんな意見を伝えたくて本書を上梓したのかが、明確に伝わってこない。
 はじめは空軍寄りでランドの意義を描いていたかと思うと、ランド内の対立を描き出し、ケネディの話をしていたと思ったらジャクソンやニクソンの話題になっていて、ふと気づいたらまたケネディに戻っている。ウォルステッターを描く立場もはっきりせず、陰謀史観的に語ったかと思うと、純粋な研究者の様にみなしたりもする。とにかく視点がはっきりせず、思いついたことをそのまま書いたように話題が点々とするので、全体像を順序だてて把握するのに苦労する。もう少し事実を整理して話題を絞り、構成に配慮すべきだったと思う。あるいは、こういう羅列していく形式がノンフィクションというものなのかも知れない。
 色々不満を並べたが、ランドが現在までのアメリカの政策にどのような影響を与えてきたのかを通して理解するには、良い作品だと思う。
日本のこれからを考えるための貴重な書 ★★★★★
 日本でも重要になってきているシンクタンクシステム。その源流とも言えるアメリカのシンクタンク。
 アメリカのシンクタンクでも、有名であるのがブルックリン研究所とこの本でかかれているランド研究所です。
 まさに、アメリカの研究所の源流ですが、そのランドという名付けの意味が「Research and Development」もしくは「Research and No Development」の大文字部分を略したものであると言われているとおり、研究を重視する、もしくは、研究だけをする意味です。
 要するに、知識の集積こそが世界を支配するともいわんとする組織、かつ、本当に世界を支配してしまった研究所こそ、このランド研究所と言えます。
 この研究所の一番の宝は人材であり、また、そのアイデアです。
 過去のアメリカの政権にアイデアと人材を供給し続けた、おそるべきシンクタンクであり、そのシンクタンクで研究を続けたある意味奇怪な人々の生き様を感じることができる本です。
 これから日本も官庁の力が弱くなるに従い、その官庁が担ってきた研究機関としての役割をこういった研究所が果たしていくことになるのでしょう。
 とくに政権政党がなんども変更していくためには、実現可能な現実てきな政策が必要であり、こうした研究所は必ず必要となってきます。
 そういう意味でも、この本を読むことは、日本の政治のあり方、かつ、世界のあり方を考えることのできる貴重な一冊となりそうです。
 また、知識を操るユダヤ人の姿を追いかけてみてください。