う〜ん
★★★☆☆
内容自体はまっとうなんだけど、訳が酷過ぎて意味が解らん。
金融に興味があるから自由経済とか自由主義つうもんに興味をもって買ってみたんだが
いくら古い本とはいえ、技術書とかの訳が酷いと評判の本とかより酷い。
資本主義と貨幣や隷属への道とかの本だったら
前者は割と笑えて、後者はう〜んと考えさせられたりと
面白かったりするんだがこの本は読んでて眠くなった。
名著だが訳が悪すぎる
★☆☆☆☆
このJ・S・ミルの『自由論』が歴史的な価値を有していることに関しては、他の方が述べられている通りで、否定できるものではありません。ただし、問題は訳の不自然な日本語にあります。
原著は、キケロの『義務について』がラテン語による美文と称えられているように、英語の美文としても名高いことで知られています。しかし、この岩波版の訳は、訳されたのがおよそ40年前とはいえ、原著の愚直な直訳で、果たして訳者が内容を理解しているのかも疑わざるを得ないような部分が散見されます。
J・ロールズの『正義論』の翻訳書も悪訳として知られていますが(こちらは新訳版がそのうち出版されるとのことですが)、この訳書も原著のエッセンスを理解するのに有用なのかは疑問です。訳者あとがきには、この本の翻訳書の出版にかけた訳者の労苦が書かれており、その努力には敬意を表します。しかし、個人的には訳に関しては読むに耐え兼ね、途中で読むのを止めてしまいました。ここのレビューでは高評価ばかりですが、他の方はこの訳で内容を理解しているのでしょうか。
まだ読んではいませんが、光文社からも翻訳が出ているようで、そちらのほうは分かりやすい訳ではあるようです(無論、日本語として分かりやすければ良いというものではありませんが)。原著で『自由論』を読むことをお勧めします。
意外なほどに少数派を擁護するミルの姿がある
★★★★★
本書を手に取る方が功利主義に賛同的なのか批判的なのかは知らない。皆さんは「最大多数の最大幸福」という功利主義の原理を聞いてどのようなイメージをするだろうか。それは結局、多数派の独裁を正当化してしまい、少数の幸福が多数の幸福、より大きな幸福のために犠牲にされる事を正当化してしまう。今となっては功利主義はしばしばこのように批判される。結論としては私もそのように思う。
しかしながら功利主義の古典である本書を直接読んだ時、我々の目に入るのは必死で少数意見、優れた少数、多数に嘲笑される個性的で独創的な発想を擁護し、そしてそれが社会の発展に貢献する可能性を熱烈に論じる功利主義者ミルの姿である。彼は確かに個人主義者であり、進歩主義者でありそして何より自由主義者であった。
この事は功利主義の理論的問題をないものとする理由にはならない。今となっては功利主義は自由主義の主流理論によって常識的な批判対象となり、乗り越えるのが当然の理論となった。その問題点は様々なものが指摘されている。そもそも快楽幸福を最高の価値とする事が正しいのか。またそうだとしてもその計算が可能なのか。計算が可能だとしてもそれは少数を犠牲にしてしまうのではないか。功利主義は快楽幸福の平等さを問題にはせず、ただ総量のみを問題にする、これは不味いのではないかなどなど。今や右からも左からも批判される功利主義だが、未だその思索から学ばれる事は多い。そして本書の意義や、ミルの偉大さが否定されるような事もないように思う。
繰り返すが功利主義が理論的帰結として少数派の抑圧を正当化しうるにしても、それは決してミルの意図するところではなかった。これに関して最後に一つの事実を付け加えておけば、ミルが生きた時代はまだ多数派が少数派に抑圧される事の多い時代であり、社会の改善と進歩は多数派が力を持つ事によってもたらされる事が多かったそうだ。だが今は時代が変わり、むしろ多数派が少数派を無視し抑圧するような時代が到来しているのではと思う。功利主義が進歩を担う原動力となる時代は終わり、同じものが現状維持や抑圧を正当化する時代になったのである。
今こそ読まれるべき自由論
★★★★★
例えば日本国憲法が語る「公共の福祉」って、ほかの皆さんを慮って社会のことを
まず第一に考えて暮らしていきましょうね、なんて話じゃなくて、自由な人間と自由な人間の
権利が衝突したときに、あるいはしそうなときに限り調整を図っていきます、っていうこと
なんだよな、とこの本を読み返しながら、久しぶりに思い出した。素で忘れかけていた。
ミルのことばには150年のタイムラグを忘れて引き込まれてしまう、それほどまでに熱く真摯。
とりわけ満たされた多様な生のため、すべての自由の前提としての言論の自由を力説する
箇所の説得力たるや、圧巻の一言。
冒頭において提示されるこの本の主題、すなわち「社会が個人に対して正当に行使し得る
権力の本質と諸限界」などというのは、まさに彼自身が語る通り、人類の歴史と同じだけの
長さを持たざるを得ない課題のひとつ。
むしろ種々のテクニックの発達で、コントロールがかけやすくなった監視社会、管理社会の
今日だからこそ、ミルの慧眼はなおいっそうのリアリティーを帯びているとさえ言える。
無論、今日の自由論とて、ミルの下支えに与らぬものはいない。
必読の一冊。
自由への提言
★★★★☆
内容については、いわずもがなでしょう。近代の倫理、即ち功利主義について書かれた不朽の名作である。
しかし、21世紀の普通の日本人にとっては、翻訳の日本語が中々理解し
にくいのではないでしょうか。翻訳とは、訳者の解釈なので、できれば原
典にあたることが望ましいといえます。他のレビューにも訳文についての
意見がありますが、当を得ていると思います。
因みに・・・
著者の倫理思想については序文で説明されています。本編は、その思想を
下に自由についての理論的な主張がなされています。