マネジメントの歴史と研究の成果を、「専門用語を使わずに」説明し、話題になった『What Management Is』の邦訳。ハーバード・ビジネスレビューの元エディター、ジョーン・マグレッタとナン・ストーンが執筆を担当しており、ドラッカーや竹内弘高が推薦の辞を寄せているという注目の1冊である。
20世紀のマネジメントの歴史を振り返り、マネジメントの要諦をまとめただけでなく、デルやイーベイ、トヨタ、GEなどの事例を用いながら、昨今のマネジメントのテーマについてもわかりやすく紹介している。「なぜ、どうやって人は共に働くか」「どの数字が重要か、それはなぜか」といったわかりやすい切り口で書かれているので、これまでにマネジメントについて学んだことのない方でも抵抗なく学べるに違いない。
ただ残念なのは、初心者向けの読み物であるにも関わらず、訳文がこなれていないことである。「今日では誰もがマネジメントをしなければならない世界に生きているからだ」という序章の言葉が本書を読む理由であるならば、もう少し誰もがマネジメントを理解できるような言葉で語られていてもよかったと思う。
ただ、そのことを差し引いても、本書で提示されている命題が万人にとって重要なものであることは疑いない。マネジメントを理解するために、そして人間を理解するために、これまでのマネジメントの営みを知っておこうと考える方には、ぜひ一読をおすすめしたい。(土井英司)
ケースを羅列した本?
★★★☆☆
「特定テーマ(ex.アウトソーシング)」に関するケースの記載が多い。
ケースに関する本が多く出版されている今日現在では、あえて本書が抜きん出ているとは思えない。
また、テーマについても、基本的な手法や概念のみ語られており、特段の面白さや仕事への展開の可能性を感じられなかった。
邦訳も読みにくさを感じる。
「経営」を頭の中で描いて楽しみたい人には、面白いのかも知れない・・・。
マネジメントとマーケティングを混同しているのでは?
★★★☆☆
この本には、「マネジメントとは何か」も「なぜマネジメントなのか」も書かれていない。この本に記載されているケースは、どれも具体的ではなく、成功例は成功例として好意的に、失敗例は失敗例としてやや軽蔑の念を含んで表現されており、読者が感情移入を起こし易いように書かれている。「マネジメントとは何か」や「なぜマネジメントなのか」を知りたい人には殆ど役に立たない本である。
なにがマネジメントなのかよくわからない。
★★★☆☆
この本、けっこう有名で、また多くのレビュアーがレビューを寄せていますが、冷静に「何がマネジメントなのか」をさがして読んでも、答えは書いていないと思います。勿論、マネジメントとは何かを考える上でのヒントは沢山書いてありますが、この本はどちらかというとマーケティングの本だと私も思います。とくに、ウォルマートについて書かれたところは、もう完全にマーケティングで、組織内部をどのようにマネジメントしたのかについては殆どなにも書いていません。クッキーウォッチャーさんと同様に、私には「What management is」に続く内容をこの文章のなかには見つけられませんでした。
女性の著者らしい「品」があるストーリー展開
★★★★☆
「なぜマネジメントなのか」より、「マネジメントとは何か」の原題通りの内容の本である。女性の著者らしいストーリー展開で「マネジメント」について、「第1部:計画/どうやって人は共に働くのか」から「第2部:実行/行動に移す」のかまで丁寧に説いている。マネジメント物語とでも言うべき内容である。
だだし、ドラッカーの著書を読まれておられない方々には少し退屈な本のなるかもしれない。ドラッカーの『現代の経営』もしくは『マネジメント』を読まれてから本書を読まることをお薦めする。
(追記:ご参考)本書の帯に「P.F.ドラッカー絶賛!」となっているが、これはドラッカーがこの本を絶賛したと解釈せずに、この本がドラッカーを絶賛していると解釈すれば、この本の内容を掴んだことになろう。
読み物としては面白いが、何がマネジメントなのかは書いていない。
★★★☆☆
原著名のwhat management is に期待して、マネジメントとは何かが書いてあるのかと思って読んでみたが、マネジメントというよりは経営戦略やマーケティングの実例が多数記載されているだけだった。それはそれで面白いのだが、この本を読む人は書名であるwhat management isの答えを探して欲しい。私には見つけられなかった。
この本、恐らく数年も生き永らえないと思う。書名のキャッチ力が陳腐化したら、それまでの本だと思う。