インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

学生街の殺人 (講談社文庫)

価格: ¥750
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
モラトリアムの真っ只中にいる津村光平の内面的な成長 ★★★★☆
本書では、3つの殺人が起きる。それを、主人公である、大学を卒業してフリーターをしている津村光平がその謎を解くという形で展開される。第一の殺人は、脱サラした松木が殺された。第二の殺人は、光平の恋人である有村広美が殺された。それは、ある意味において密室殺人である。第三の殺人は、「あじさい学園」の堀江園長が殺された。この3つの殺人にはそれぞれつながりがあるのか?

4章あたりでもう犯人がわかるのだが、5章になって本当の真相がわかっていくと、だんだん切ない気持ちになっていきます。なぜこうなったのかという感じがします。

津村光平の内面的な成長というものも見逃せないかな。モラトリアムの真っ只中という感じであるが、これからどうすればいいのかというものを考えているように思います。いろいろな登場人物から学び取ることでしょう。

本書の感想なんですが、結構長いなあという感じではあるが、津村光平の成長やミステリーとして薦められる作品のひとつだと思います。それなりには面白いですね。
一読の価値あり ★★★★☆
 舞台は、かつては学生でにぎわっていたが、今はさびれてしまったとある大学のそばの学生街。第一の殺人は学生向けの安アパートで。そして、その事件が解決しないうちに、第二の殺人が。犯人は誰なのか。そしてその動機は…
 この作品が発表されたのが1987年。高度成長期の真っ只中である。作中である人物が言う。将来やりたいこともなく大学に入り、卒業していく人間がほとんどである。そういう人はたいてい指示待ち人間で、ロクな仕事ができないと。そういう人間はいずれ機械に取って代わられるという。本当に取って代わられるかはともかく、この言葉は私の心に引っかかる。1987年といえば、バブルで日本が好景気だった時で、当然就職率も最高だったはずだ。企業は規模を拡大し、指示待ち人間でもいいからどんどん採用した。今から考えると何ともうらやましい時代である。しかし、現在必要とされるのは、大卒なら技能として英語とコンピュータを使いこなせ、さらに専門知識を身につけた人材らしい。もちろん、自分で考えて動くことが求められるのは言うまでもない。ここまでコンピュータが浸透してくると、作中の言葉もまんざら嘘ではなさそうだ。これから大学を目指す人には、ぜひ高い目的意識を持って、充実した学生生活を送ってもらいたいと願う。
 小説のほうは、ついに、第三の殺人まで起きてしまう。もちろん、最後にはちゃんと密室のトリックも解け、事件は解決する…と思われる。しかし、物語はそこでは終わらない。もう一波乱あるのだ。初期の作品ではあるが、十分に東野圭吾らしさが出ている小説である。単なる謎解きミステリーではなく、人物がよく描けている。ファンとしては、初期の作品を読むことで彼の成長ぶりや、テーマの変化などが分かって楽しめる。この作品のカギは最終章にある。謎解きが終わったからといって読み飛ばさないように。
”フリーター”で生計を立てている人に向けたメッセージ本 ★★★★☆
 本書「学生街の殺人」はミステリー小説としてまさしく“Aランク”に入る作品だと思う。
 特に、「動機」や裏の事実を巧く描いている点は「さすがは東野圭吾」といった感じだ。
 しかし、読み終えて一番感じたことは、「フリーターに対するメッセージ」である。

 作者は本作品の主人公・津村公平やその周りの人物の生き方を通して、フリーターやニートに対して「ブラブラしていちゃいかんぞ」というメッセージを送っているのだと思う。
 本書を読んでいるそのような境遇の人たちは奮起をしなければいけない、そう強く感じた。
 それ以外にも多くのメッセージをこの作品は発している。
 「償い」や「親子愛」などだ。

 本書は東野圭吾の初期作品である。
 近年の作品を読んで好きになった人はぜひ読んでもらいたい。
若き東野の勝負 ★★★★★
 密室、1回では解けない謎などを盛り込むなどかなりの力作です。なんといってもデビュー第4作。今でこそ押しも押されもしない作家それも「超」がつく売れっ子ですが、当時の文壇ではデビュー作は良かったけれど...という存在になりつつある頃。ぼちぼち勝負のしどころだったのでしょう。
 肩が凝らない文体で、非常に楽しく読み進めることが出来る作品であると同時にひねり具合、人間描写など時々ほほーっと思わせるところがあります。
 作者とは同じ大学で家も大学に近いのでかなり親近感を持てた作品でもあります。
 東野ファンでなくとも、一読の価値ありです。
完成度が高い ★★★★★
寂れつつある街に、何気なく生活している若者の友人と恋人が殺された。
恋人のことを何も知らない自分に気づいた若者は、恋人の過去を辿り、恋人の性格と過去の事件から、今の事件の全貌をつかんでいく...。
若者の悲しみと怒り、苦悩が伝わってくる作品で、最後まで興味を失うことなく、読後感も悪くない。完成度が高い作品だと思う。