Stittの奥深さ
★★★★★
'70の屈指のジャズ名盤として有名な"Tune Up!"に、同時期同メンバーで録音された "Constellation" をカップリングしたという大変お買い得な一枚。この盤では、バリー・ハリスのイモなサポートがプラスに作用しているといえる。同じパウエル門下でも品のいいフラナガンあたりではこうは行かなかったであろう。ベースとドラムの好演はいうまでもない。
筆者は常々、元来はアルト奏者であるスティットが「パーカーの模倣」と濡れ衣を着せられ、テナーをも手にせざるを得なかったことは、彼にとって幸いではなかったかと思っている。たとえば冒頭の "Tune Up!" では、あきらかにテナーの豪快さがプラスになっている。アップ・テンポのバップ・ナンバーではテナーを、そしてバラードではアルトを使い分けることで、彼の音楽性はより広がったのではないだろうか。
しかし、これほどの名盤がありながら、筆者は "Still/Powell/JJ", "Plays Bird" そして "The Last Sessions" をこのアルバムよりも上位に置きたいから、Stillの底力はやはり相当なものだったのではないだろうか。これだけの名盤を量産できるアーティストが、他にどれだけいるだろうか?