カルヴァンを知る最良の小著
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『黄金の小冊子・真のキリスト教的生活』はカルヴァンの代表的著作『キリスト教綱要』の珠玉の部分を要領よく単行本化したもので、その起源はカルヴァンの存命中(1550年)にまでさかのぼる。本書は、カルヴァン神学の真髄を学ぶ最良の著作と言える。
本書の特色は文字通り小冊子であり、文章が『キリスト教綱要』より明快で読み易いことである。この故に、四世紀以上にわたってキリスト教世界の読者に霊感を与えてきたのである。邦訳の『キリスト教綱要』を読んで「カルヴァンは難しい!」と感じていた人びとには必読の書である。
本書はキリスト教的生活を「従順」「自己否定」「十字架の意義」「来世への望み」「現世の生き方」の五章に要約している。
本書の良さは、アウグスチヌスの『告白』やトマス・ア・ケンピスの『キリストにならいて』のような古典的名著に比べて、規模において小著でありながら要を得ており、内容において霊的でありながら現実的、深遠でありながら普遍的でもある点にあるのであろう。