夜食がほしくなる。
★★★★★
どれもこれも心が落ち着く話ばかり。登場する食べ物をついつい試したくなる。
続刊まで間がありすぎて待ちきれない。テレビドラマ化も続編が見たい。
深夜食堂 1 (ビッグコミックススペシャル)深夜食堂 2 (ビッグコミックススペシャル)深夜食堂 3 (ビッグコミックススペシャル)深夜食堂 4 (ビッグコミックススペシャル)深夜食堂 5 (ビッグコミックススペシャル)
庶民の哀歓が、湯気のように立ち上る
★★★★☆
新宿歌舞伎町の外れにあって、午前0時〜7時の間、営業する店、深夜食堂。
顔にキズのある、いろいろ過去がありそうな朴訥なマスターがいて、
正規の「お品書き」は豚汁定食のみ。
しかし客が注文する料理は、材料があれば、だいたい作ってくれる。
場所柄もあって、やってくる客はヤクザやストリッパー、ホステス、オカマ、AV男優など如何にも訳ありげな人たちが多い。他にも落語家や大学教授も常連と、なかなかに多士済々。彼等はそれぞれ思い出のメニュー、好物の料理を注文する。そして、ある時には、その食べ物にまつわる思い出話をポツリポツリと語り出し、またある時には、その注文をきっかけに、ちょっとしたドラマが始まるのだ・・・・・・
登場するのはタコさんウィンナーやバターライスなど、技巧を凝らした「究極の料理」とは程遠い、他愛もない料理ばかりなのだが、これが妙に美味そうなのだ。そして、その料理に絡んで進行する人間ドラマも地味でありがちなものだが、これまた妙に味わい深い。凡庸な料理に凡庸なドラマ。しかし、そこにこそ庶民のつつましくもささやかな人生の喜びが染み込んでいるのだ。
現代人の心を癒すユートピア。「実在するなら、絶対に通い詰める」と思わせる温もりがある。
赤ウィンナー
★★★★★
竜ちゃんの赤ウィンナーのエピソードは必見。マスターをはじめ相変わらず良い味を出してる個性的な面々が素晴らしい。ここまで読んだ方ならば知っての通り、昨今の漫画の作風とはある意味一線を画す、懐かしい匂いのする漫画。
昭和はもう少しリアルだった
★★★☆☆
昭和そのものの感じがするが、青春を昭和に50年代前半に送ったものとしては、ちょっと食い足りないところもある。
でも、「三丁目の夕日」なんかよりは親しみが持てる。理由は、さもありそうな感じがしないでもないからだ。比べて「三丁目…」は、あきらかに「んなわけねーだろ」。
浅田次郎的なうまさが加われば、もっといいのだが…。でも、彼も最近、あざといからなー。
このあたりは、難しいところですね。「過ぎ去りしものは、すべて美しい」に負けないストーリーを大いに期待したい。
訳アリな店の主人と織り成す現代の人情物
★★★★☆
深夜にしか営業しない、繁華街の一隅にある食堂にて
そこに集まる一癖も二癖もある客たちが
これまた訳アリな店の主人と織り成す現代の人情物。
店には豚汁定食以外の固定メニューは無く、
「あとは勝手に注文してくれりゃあ、できるもんなら作るよ」という方針で
必要以上に人の事情に立ち入らないという意味では一見ドライに、
しかし仄かに暖かく営業している。
ストーリーは一貫して店の中でしか展開しない。
しかし「食にまつわる想い出」を持たない人間がこの世に居る訳は無く、
個々人の過去が様々なメニューとともに立ち現れ、
赤の他人にも本音をポロリと出し易い深夜という時間設定も相まって
郷愁に満ちた豊穣な舌の上の小世界が毎話展開する。
本巻はその第三巻。魚肉ソーセージにふりかけ三色パック、
置き去りにされてきた真の昭和がここにはある。
三巻目まで来て、やや息切れしてきたのか
「どこかで読んだ話」が多くなってきたのは気がするのは
私だけであろうか。