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グローバリゼーションを擁護する

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞社
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   1999年にシアトルで開催された世界貿易機構(WTO)会議は、暴動の勃発により大荒れとなった。この事件は、グローバル化をめぐって巻き起こっている極めて感情的な論争の、もっとも深刻な例である。グローバル化反対論者は、児童就労から環境破壊、文化の画一化、さらには貧しい国々を苦しめる数々の災難にいたるまで、あらゆる悪の元凶としてグローバル化を責め立てた。そんななか、論理の明快さと筆致の鋭さで知られる世界的な経済学者、ジャグディシュ・バグワティが、その批判を受けて立った。

   本書では、適切に管理さえすれば、グローバル化は今日の世界に社会的利益をもたらす最強の武器となるという事実が解説される。バグワティは国際経済に関する圧倒的な知識を駆使しながら、反対派が得意げに示す例は実情と異なるものが多い理由を説明し、グローバル化が原因とされている問題の多くは、実はグローバル化により緩和できるのだと説く。たとえば、グローバル化により発展途上国にいっそうの普遍的な繁栄がもたらされれば、児童就労はまたたく間に減少し、識字率も上昇するという(十分な収入があれば、両親は子どもたちを仕事ではなく学校に送り出すようになる)。また、グローバル化が世界中の女性運動を促進する事実や、適切な環境保護策をとりさえすれば、経済成長は必ずしも環境汚染を加速させるものではないという証拠が示される。そして、グローバル化が「マックワールド」(いわゆるファストフード文化)による文化的侵略を助長しているという批判に対しては、サルマン・ラシュディを引き合いにして反論する。ラシュディは、ボンベイのスラングと完璧な英語の入り混じった文体で、南アメリカの魔術的リアリズムを取り入れた小説を書いている。グローバル化が生み出すのは、白パン的な純粋文化ではなく、スパイスのきいた混合文化なのである。バグワティは彼特有のウィットと学識を交えながら、グローバル化は解決策の一環であって、問題となるものではないと主張している。グローバル化論争の論点を理解したい方は、本書を読むことをおすすめする。

仲間内で気勢をあげているだけ ★☆☆☆☆
偉い先生か知らないが、全然説得力ない。反グローバリゼーションに反論する形を取ってるけど、それぞれの反論として挙げた事実のデータの詳細を示さないのだから具体性はあまりなく、仲間内で気勢を上げている風情だ。私自身はリバタリアン的だし、グローバリゼーションにはどちらかと言えば賛成だ。この私が説得されないのだから、反グローバリゼーション派の人は勢いづくのではないだろうか。読んでいてあまりの意味のなさに1/3ほど読んだところで放り出してしまった。
もうお年だから緻密に反論する文章なんてかけないのかしらねえ。正統経済学ではあまりに当然なので、この程度の反論でいいと本当に思っているなら、大問題だ。足下をすくわれますよ。
NGOはこれを読め! ★★★★★
著者は世界的に最も著名な自由貿易論者であり,この本では
最近のNGOや左翼団体が批判するところの,グローバリゼーションによる
1.貧困の拡大
2.児童労働の増加
3.女性問題の悪化
4.地域文化の衰退
5.賃金と労働水準の低下
6.環境問題の深刻化
7.多国籍企業による搾取
が客観的なデータや経済学研究に 基づかない単なる妄想であることを最近の実証研究を数多く挙げながら議論している。
一方で資本移動の問題点や国際機関のガバナンスにも言及しているので,タイトルよりも中立的な本である。

この本は国際経済学を勉強した人にとっては特に学術的に
新しいものではなく,想定している読者は
主にNGOや市民運動団体に興味ある人たちだと思われる。

なおクルーグマンの「良い経済学悪い経済学」とテーマは似ているが,
内容はこちらのほうが包括的で内容も深い。