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傭兵の二千年史 (講談社現代新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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戦争が商売になるのは現在も同様だ ★★★★★
人間の世が始まって以来、あらゆる時代の戦争は、権力の一裏面を為している。故に軍事力は、権力に不可欠の要素だった。この新書は、それを傭兵の歴史として記述する。投稿者の間違いでなければ、三部会による国会の決議で、封建領主の列強から、フランスを防衛する為に、全国民から屈強な若者が徴兵され、真の国民軍になるのは、フランス革命に始まると云える。それ以前は、封建領主の時代であり、兵隊と農民は明確に分けられていて、戦争商売は、貴族層からなる指揮官と、金で雇った傭兵からなる兵隊の構成であった。なぜ傭兵かというと、封建領主が国民を武装させては、権利の不平等と租税による抑圧を、常に国民の上に科していた領主らにとっては、特権階級全体の寝首を掻かれる心配があったからで、主に戦争は、自分の配下の貴族層と傭兵で賄っていた。その為、領主が戦争をするには、国庫に相当の金が有り、傭兵に支払う報酬以上の獲物が無ければ、侵略は採算が合わず、とても、他国への武力攻撃は無理であった。戦争を仕掛ける為に、農民に重税を課した極悪な領主も居たのである。

傭兵の歴史は、この本に詳しいが、「ドイツ農民戦争」の歴史も大いに傭兵が絡んでいる。14世紀、南ドイツに端を発したこの農民一揆は、極端に腐敗した、カトリックへの反逆であり、農民を虐げる封建領主への反抗でもあった。また、15世紀の初頭より、燻ぶっていた各国の宗教事情は、「三十年戦争」へと拡大する。大まかに見れば、カトリックの神聖ローマ皇帝と、プロテスタントのドイツ諸侯の間に、端を発したこの宗教戦争は、プロテスタントと、カトリックの宗教戦争から、各国が介入する一大世界大戦へと燃え広がった。ドイツは、その戦場となり大変な被害を受ける事になる。傭兵の歴史は、遠い昔に始まったが、それは、今でも終ること無く続いている。イラク戦争での、アメリカの傭兵は有名である。彼らは、今では、安全保障と戦争を商売にする、大株式会社なのだ。軍と契約し、高い装備を使い、途轍もない高給で退役軍人を雇い入れ、高級参謀を軍事顧問にして、正規軍の嫌がる、危険なオプションを遂行し、邪悪な戦争を演出している。傭兵は、過去の物ではなく、死の商人同様に、金に目の眩んだ人間の、凶暴な一面に巣食う、根絶し難い病原菌と云えるだろう。
傭兵が戦うのが人類の戦争史の主流 ★★★★☆
ヨーロッパ(特にドイツ圏)の傭兵の通史で非常に読み易く、分かり易い本。古代、現代やヨーロッパ圏外の傭兵についての記述は少ない。
しかし今、私たちが戦争、というと徴兵された各国の兵士が戦うもの、と言う認識が国民国家が成立した300年かそこらのもの。母国のために戦い死ぬ、ということはまったくの近現代の感情、常識であり、当たり前のことではない、ということがよく分かる本である。

それにしても、傭兵ということばになぜか、ロマンティズムを感じさせられることがあるのは、自ら戦うことを選んだ、というドイツのランツクネヒト達の最後の哀しいプライドが傭兵観に反映されているからだろうか?
面白い話がもりだくさんで読みやすい本です。 ★★★★☆
同じ著者の「戦うハプスブルク家」は読みづらかったが、本書は心配不要。文章は読みやすいし、ヨーロッパの戦争史において軍隊の中核をなした傭兵及び軍制改革という観点からヨーロッパ史を眺めることのできるお薦めの本である。古代ギリシャ、ローマでの傭兵に触れているのは少しだけなので、実質的には「ヨーロッパの傭兵の千年史」と題すべきかもしれないが、第3章以降は歴史の裏側をのぞくような面白さ、様々なこぼれ話に満ちている。何故中世君主は傭兵に依存するようになったか、ヨーロッパが「邪悪な戦争」の連続に突入するまでは八百長の戦いもあったこと、スイスが実は「血の輸出」で名を馳せていたこと、ランツクネヒトというドイツ人傭兵部隊は自由をアイデンティティとし、労働的組合的な職能を持つ兵士集会が認められていたこと等は本書で初めて知った。傭兵を率いる隊長は企業家のような存在であったこと、傭兵たちの悪逆非道ぶり、逆に傭兵哀史といった面も十分カバーしている。

さて、本書は祖国のために進んで命を投げ出そうとするナショナリズムの仕組みを、忠誠、祖国愛とは遠い存在である傭兵の歴史から逆説的に探ることを目的としているが、それは達成されただろうか。ナショナリズムを担う国民軍誕生の瞬間は見事に捕らえている。傭兵の自由戦士的側面が君主権力によって奪われていったこと、徴兵制度の導入等の軍制改革によって傭兵の地位が下がっていったこと、兵士たちが祖国を意識するようになったことの説明は十分である。しかし、祖国のために死ぬことを厭わないまでにはまだ距離がある。著者は米国独立、仏革命の革命精神が契機と言いたいようだが、何故革命精神が傭兵との対極にある国民軍を生み出すことになったのか、もう少し掘り下げた説明が欲しかった。が、そうすると市民革命の本質を探らねばならず、本書ではカバーしきれないか?その点を惜しく思う。
ヨーロッパ中世の再発見 ★★★★★
二千年史、とのタイトルですが、最初の千年(ギリシア〜ローマあたり)は数十ページでさらりと流されます(笑)。正直、そこまで読んだときは、ああちょっと購入早まったかなーと思いました。

しかし、中世に入ってからは面白いです。

騎士は主君と期間契約しているから、期間外は「傭兵騎士」として他の主君に仕えるものがいただとか、あまり知られていないことが書かれており、従来のステレオタイプ的な騎士世界とは違った視点でヨーロッパ史を眺められました。

スイス傭兵(国家に売られた傭兵たち、兄弟が両陣営に売られて殺し合ったりとかがあった)についてとか、イタリアのルネサンス期の傭兵についてももちろん触れられていますが、傭兵から身を起こして一代でミラノ公になったスフォルツァについてとか。ちょびっとマキャベリも登場。

そして、「イタリア戦争」から「ドイツ三十年戦争」(傭兵隊長として史上最も有名な?ヴァレンシュタインについても)、「ネーデルラント独立戦争」「スペイン継承戦争」などを経て「フランス革命」まで、傭兵たちの戦争としての通史で、これが分かりやすかった。いままでこの前近代の歴史って何がなんだかよく分からなかったのですが、一連の流れとして理解できました。

特にページを割かれているのが、ドイツの〈ランツクネヒト〉という傭兵団(のあつまり)についてです。これがたぶん「通ったあとにはペンペン草さえ残らない」と言われている傭兵団のモデルなんではないかと思いますが、その独特の「文化」についていろいろと書かれております。

あとがきで「ドイツ傭兵(ランツクネヒト)の文化史―中世末期のサブカルチャー/非国家組織の生態誌」が種本の一つとされています。そっちも面白そうなんですが、高いので、まず入門編としてもオススメかと。

この本は「傭兵を通じて、国民国家と国民軍の誕生をあぶり出す」のが目的なので、フランス革命以後の傭兵についてはまたさらりと流す程度しか書かれていません。まあそういうのは、落合信彦とかを読むといいのかなぁ(笑)。
傭兵で読み解くヨーロッパ史 ★★★★★
傭兵の歴史を、ギリシャ、ローマから中世そして現代まで追うことにより、傭兵が生まれた背景や形態、そして戦術を述べる。そして、傭兵が無くなった時、国民が生まれたと説く。それは、帝国主義国家の誕生でもあったと思う。
ヨーロッパの歴史が、武器と戦争からよく見えてくる。また、戦術のTTは予想以上に早いことなど面白い記述も多い。