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職業”振り込め詐欺” (ディスカヴァー携書)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 新書
ブランド: ディスカヴァー・トゥエンティワン
Amazon.co.jpで確認
現代日本の病理を見事に映しだした作品 ★★★★★
行き過ぎた拝金主義が若者(一部であるが)を振り込め詐欺へ駆り立てた動機などが分かる。

また闇金から振り込め詐欺へ転向した者などリアリティーに満ちた本だ。

有名私大(早稲田大学)に通いながら振り込め詐欺に走った高学歴の若者の暗部などが描かれている。

リーマン・ショック後の派遣切りで職を失った者たちを「出し子」としてまるで道具のように使う振り込め詐欺グループに怒りを覚えるだけではなくいつの間にかそのような人間の使い方を是とする社会になっていたのではないかと考えさせられた。

2009年2月9日にNHKスペシャルとして放送されたものを新たなデータも揃え新書にしたものだが実際に放映されたもの以上によくまとまっている。
「普通の人」と「犯罪者」の間の薄い壁 ★★★★★
一気に読み終えてしまった。
「普通の若者」と「犯罪者」を仕切る壁は、こんなにも薄くあいまいになっていたのか、と、背筋が寒くなった。「振り込め詐欺」という犯罪に手を染める人たち独特の論理を根底から覆すことができる”オトナ”はどれくらいいるのだろうか。
取材班が取材で聞いた話なので、取材を受けた側がどこまで真相を語っているかは正直、よくわからない。でも、振り込め詐欺で稼いだお金を元手に起業して、マトモな起業家として生きている人の話など、手を伸ばせばすぐ犯罪者に届くくらい近い距離感で犯罪が存在していることが実感として感じられ、怖くなった。
普通の若者と振り込め詐欺犯を隔てる壁が薄いだけに、この犯罪は雑草の根のように深く複雑に日々の生活に根を下ろしてしまっているように感じられる。
犯罪者側のルポだけだと、彼らの独特なねじ曲がった論理に読者が負けそうになるためか、被害にあった人の精神的ダメージにもきっちり触れてある。
これを読んだからといって、振り込め詐欺から身を守れるかどうかはわからないが、読み物としておもしろいことは確かだ。
「カネこそすべて。手段は選ばない。」という考え方 ★★★★☆
振り込め詐欺犯に堕ちて行く人は「世の中多少悪いことをしたってお金を儲けた人間の勝ち」または「こんなことで騙されるほうが悪い」と思っているらしいということが本書の中に書かれていた。これは道徳的に(違法であれば法的にも)間違いだということはわかるけれども理論的に反論できる人はどのくらいいるのか?と正直思いました。
実際、犯罪行為をして捕まって裁判にかけられたりして有罪になる人もいるけれども、それでもそういう人が犯罪行為の中で儲けたお金で(精神的にはわかりませんが)経済的に豊かな生活を送っているようなケースはたくさんあります。一方、真面目にコツコツと働いてきた人があっさりと仕事を失って困窮に陥る事態も特に最近は多々見ることができます。確かにお金は人生における大きな要素ではありますが、それでも犯罪行為に及ぶに至るのは普通に生きてきた人からすればやはり大きい変化とは思いますがそのハードルもだんだん低くなってきているのが現状です。
世の中の価値観が大きくグラついて「ただ真面目にやるなんてバカだ」とか「自分だけが安泰ならいい」とか思う人が増えて、またそれに伴い人と人との関係が希薄になればなるほどこの手の犯罪は増えていくのでしょう。
警察の方が検挙率を上げていただくことは犯罪抑止の大きな要因ではありますが、世の中の価値観みたいなものが変わっていかない限り、振り込め詐欺という形に関わらず同種の犯罪な減ることはないのかとこの本を読んでいて思いました。
NHKの番組の書籍化ということでしたが番組は見ていませんが本書だけでも主旨は十分に理解できます。
余談ですがNHKはいろいろとバッシングもされていますが民放と比べるとドラマも報道もやっぱり質が高い気がします。
がんばれ警察! ★★★★☆
「顧問」と呼ばれる、31才の男が登場する。
「顧問」は、新しく振り込め詐欺をやりたいという人に安全面について指導する。
「顧問」が言うには「(最近警察に)捕まっているのは他のグループのやり方をまねて始めたシロウトばかりだ」「自分が顧問を務めるグループには、警察に絶対捕まらないように、指導する」と豪語する。
莫大な顧問料は海外の10の銀行で管理されているという―

詐欺グループが高学歴化している。
彼らは犯罪マニュアルを作り、そして自己増殖を繰り返す。

しかし高学歴といえども所詮は超一流にはなれなかった、一流留まりの頭脳。
警察がその頭脳を越えることなど難しくはないはず。
警察にはぜひとも頑張ってもらいたい。。。
組織化、犯罪意識のなさに驚き ★★★★☆
年々大規模、組織化する振り込め詐欺の現状を、テレビ番組を元に書籍化したものだが、振り込め詐欺犯たちの犯罪意識のなさに驚いた。もはや、企業のように流れ作業化され、振り込めホームレス一歩手前の人たちが、闇サイトで「危なくない」という言葉につられ、一回数万円の手当で、出し子として金を引き出す。彼らは主犯の顔も知らない。主犯は部下に電話をかけさせ、出し子に引き出させた数百万円の金の大半を、自分は手を汚さず手に入れる。他人名義の携帯や国外への電話転送など、隠蔽のための手口も巧妙になる一方。番組取材班は、複数の主犯格とのインタビューに成功するが、主犯たちは「店舗」「売上」などの言葉を使い、アジト運営のマニュアルまで作るなど、警察とのいたちごっこをむしろ楽しんでいる風でもあり、表題通り、「職業」として犯罪を犯していることを感じさせる。

本書は被害者たちも取材しているが、生活の糧である数百万円を自分の不注意で数十分で失ったショック、失意の声は胸を突く。「詐欺犯は殺人者」「まただまされるんじゃないかと不信感が先立つ」…取材班のアンケートによると、8割近くの被害者が精神に変調を来したといい、自殺者も出ている。加害者たちの軽い犯罪意識との落差が浮き彫りにされる。

犯罪者への肉迫ぶり、被害者の悲痛な声など、取材はすべて直当たりの取材で作られているのがいい。Nスペらしい手間暇かけた濃密な取材で構成されていて読ませる内容。警察の仕事かも知れないが、ターゲットである我々の対処法も、書籍にはちらりとあれば、なお良かったかも知れないが、本書を読めば間接的に分かるのでまあいいかと。詐欺の仕組みについてもきちんと書かれていて、複雑な振り込め詐欺の全貌が、本書で見えると言っても過言ではないと思う。