ジャコが初参加した重要な作品
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76年発表の6作目。ロック/ジャズ界に強力な影響を与えたジャコ・パストリアスが初めて参加した作品であり、そういう意味だけにおいても歴史的的に重要な作品である。ジャコの参加には「キャノン・ボール」という曲 (ジョーが若い頃に参加していたグループにいたフロリダ出身のジャズ・サックス奏者、キャノンボール・アダレイに捧げた曲) にフロリダ・サウンドを加えたいがために、フロリダに住んでいたジャコに声をかけたという話だが、それだけではあるまい。したがってジャコはこのアルバムでは途中参加である (2曲のみの参加)。メンバーはジョー・ザビヌル(k)、ウェイン・ショーター(sax)、アルフォンソ・ジョンソン(b)、ジャコ・パストリアス(b)、アレハンドロ・ネシオスープ・アカーニャ(dr、per)、チェスター・トンプソン(dr)となっており、ナラダ・マイケル・ウォルデン(dr)、ドン・アライアス(per) が曲によっては参加しているが、ゲスト扱いとなっている。
1.は緩やかなラテン風味のポップな曲。ジョンソンのベースと分厚いオーバーハイムのシンセの音色がたまらない。リアルな花火?の効果音入り。2.はエレピが入っているためかRTFとボブ・ジェームスの中間的な雰囲気を持っている。メロディアスな一曲だ。3.はやはりラテン調だが、こちらも同時期の初期のボブ・ジェームス (クラシックを取り上げていた頃) を彷佛とさせる。4.はピアノが入っているためかややジャズ・ロック的な雰囲気を感じさせる曲。印象的なフレーズとキメを奏でるショーターのサックスが光る。6.はファンキーなベースにベルっぽい特徴的なシンセが絡む。時にサックスとのユニゾンになって独特の響きを出しており、非常に刺激的だ。7.は変則リズムの非常におもしろい、かつ美しい曲。カンタベリー・ロックのファンは一聴の価値あり。
主張するベース
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彼らのスタジオ内での様子については全く知らないのですが(今度「山下邦彦著・ウェザー・リポートの真実」を読んで勉強します)、このグループにおけるベースの位置というのはかなり特殊ですね。
「ベース=リズム隊」の固定観念があった自分ですので、音楽に対してこれだけ主張するベースを聴いて本当に衝撃を受けました。
高い位置で、ほとんどメロディーを奏でているので、ついついベースにばかり耳がいくほど・・・。
しかし、だからといってそれがバランスを壊すような事が全くないから不思議。
他の音色についてもカラフルでとても心地が良いので、どんな人にもお薦めできます。
「ヘヴィーウェザー」と共に手に取ってみてください。
のっけからカッコよかったアイツ
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なんといっても、二曲目の「キャノンボール」。
一聴すれば、ジャコの名前なんか知らなくとも
「何?このカッコいいベース弾いてる奴!」
と興味が湧いてくるに違いない。
それくらいサックスやシンセよりもベースが耳に残っちゃうのだ。
ジャコ・パストリアス登場!!!
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1975年12月~1976年1月ハリウッド、デンヴォンシャイアー・サウンド・スタジオで録音。
元祖ウエザーはザヴィヌルとショーター共有のバンドであった。そして数年後ショーターはCo-Producerに退き、ウエザーはザヴィヌルのワンマンバンドとなった。しかしその時神は皮肉にも薄汚い長身・ちょんまげという風体の悪い背中にフェンダー・フレットレス・ベースをしょった男をザヴィヌルに差し向けた。彼の名はジャコ・パストリアス。最初に参加したのが本作『Black Market』。そして最後にザヴィヌルはウエザーを全くコントロールできなくなり、ウエザー・レポートの名は彼、ジャコ・パストリアスの名とともに多くのファンの心に残り続けたのだった。
1.2.3がザヴィヌル、4.5がショーター、そして6が記念すべきジャコ作のウェザーの最初の曲『Barbary Coast』だ。大きなクラクションの音で始まる6はその脅威のベースが世に降臨した記念すべき作品である。
ということでザヴィヌル色が極めて強い本作であるが、天才はやっぱり天才である。本作ですらジャコが一番光っている。
ジャケットでイメージできる人気作
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前作”Tale Spinnin’”は当時最も斬新かつ先進的な傑作であったが、本作はさらにファンキーな要素を加えてポピュラリティーをも獲得した代表作品の一つとなった。この頃は一作毎にリズムチームが代わっているが、本作ではChester Thompsonという後にPeter Gabrielとも活動することになる名ドラマーと、パーカッションにAlex Acunaが参加、さらに制作途中から、かのJaco Pastoriusも参加し2曲だけだがその才能の片鱗を見せてくれている。ジャケットと見事にイメージがシンクロするタイトル曲はWeatherの代表作ともなり、Wayne Shorterの最も人気曲ともなった”Elegant People”もこの作品から生まれた。また、最後の参加作品となってしまったが、革新的なエレクトリック・ベースの名手Alphonso Johnsonとその後カリスマ化することになるJacoが違和感なく同じアルバム内で共存しており、そのプレーの違い等を聴けるのも聴きどころの一つである。