つまるところ彼はクリンでは困ったやつと呼ばれるだろうし、いってみるなら彼は指輪物語のアラゴルンとシルマリルリオンのフィンロド・フェラグンドとドラゴンランスのタニスをまぜたような奴である。すぐに自分の世界に入り込みたがり現実に目を背ける逃避主義者、自己陶酔的に赦しよそならだれもついて来ない…クリサニアが危険視するような、という意味だが…清廉潔白居士。
その上前代未聞のとうへんぼく。
しかも作品じたい、トールキンですでに読んだあのエピソードこのエピソードたいして変えていない形でぽろぽろ散見できる。さがしてみると面白いでしょうといいたいが、探すまでもなく見つかるくらい。
おもしろいですよ。
でも戦闘シーンがたるい。わたしの頭がついていけなくて混乱してしまう。こういう作風の本は、わたしはまずSalvatoreくらいしか読まない。
数あるAD&D小説の中で、もっとも面白い大傑作が、この「アイスウィンド・サーガ」です。
この小説の素晴らしい点は、その優れたアクション描写と、テン・タウンズから砂漠の帝国カリムポートまで、文字通りフォーゴットン・レルム世界を縦断するような大冒険にあるといえるでしょう。
特に3巻以降に登場する永遠のライバル、暗殺者エントレリとの度々のチャンバラ描写は最高に素晴らしく、「宮本武蔵と佐々木小次郎」状態です。
登場人物達の描写力は特筆すべきもので、「ドラゴンランス」や「エレニア記」といった数多くのファンタジー名作の中でも抜きん出ています。
全6巻で2巻ごとに主要なストーリーが描かれていますが、最初から最後の大団円まで一気に読ませます。
最高のお勧めです。