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犬のしっぽを撫でながら (集英社文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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やっと、やっと最近になって小川洋子さんの魅力がわかるようになりました ★★★★☆
以前はピンと来ない作家さんでした。
世代はほぼ同じなのですけど、作品を読んでも共感しにくくて、次々と読むのはどうも気が進まないでいました。
『博士の愛した数式』と『ミーナの行進』で、ギュッと引きこまれました。
ほかは相変わらず読んでいないのですけども。

『犬のしっぽを撫でながら』は、彼女の暮らす環境に息子さんがいて、犬がいて、阪神タイガースがいて…
というのが、なんともいいなあと思いながら読みました…私も母親、私も虎キチですもん。
ご自身の子ども時代のことに触れた文章でも、似たような時代を育ってきたので、イメージを描きやすくて、
うんうん、とうなずきながら読みました。
すべてのエッセイがそうではなく、一部かもしれませんが、短文でリズムよく書かれていることに、とても小気味
よい印象を抱きました。
彼女の世界に呑まれてしまいたい。 ★★★★☆
小川洋子氏のエッセイ集。薄ピンクの装丁にタイトルも可愛らしいですが、中身もほっこり感溢れています。まるで、暖かい陽だまりの中にいるような、優しい気持ちになれる一冊です。

小川氏にとって「書く」という行為の意味から、「博士の愛した数式」「まぶた」「貴婦人Aの蘇生」など、作品誕生の背景が紹介されていたり。小川氏の小説を愛するファンにとっては興味深い話が多いです。
他にも、家族との思い出や愛犬ラブとの格闘の日々、驚くべきタイガースの応援の様子など、生活に触れた部分もあり、小川氏を身近に感じることができます。
さらに、彼女の作風に大きな影響を及ぼした、アンネ・フランクの隠れ家を訪問した際の日記も収載されています。

全体を通じて思うのは、なんて謙虚なヒトなんだろう、と。たくさんの素晴らしい作品を創り出しているのに、その姿勢は常に慎ましく何とも控えめ。エッセイからも読み取れる鋭敏な感性、観察力からは想像もつかないほど、人柄は大人しい。なんだか、読んでいてこちらが申し訳なくなるほどです。
でも、しっかりと軸があるというか、小説を書くことが自分の使命であると、もちろんココロ得ていて、その心意気がまた素晴らしいなと思うのです。ますます小川氏に惹かれるわけです。

小川氏のファンはますます彼女に魅了され、そうでない人もきっと小川氏に好感を抱き作品を読みたくなる、そんな一冊です。
いとおしい選り抜きの言葉で紡ぎだされた、いつまでも大切にしたい好エッセイ集 ★★★★★
本書は06年4月刊行の単行本を文庫本化したもの。1.数の不思議に魅せられて、2.「書く」ということ、3.アンネ・フランクへの旅、4.犬や野球に振り回されて、5.家族と思い出、の5章からなり、それぞれ2乃至10頁の短いエッセイを集め、とても読みやすい。1.では美意識を手がかりに数の世界に驚きと歓びを発見しようとする数学者達の仕事への限りない共感が語られる。「博士の愛した数式」(小説・映画どちらでも)や藤原正彦氏との対談を愛する人は必読だろう。2.では著者が小説を書く、読む、語り合うことが好きでたまらないことがわかる。真摯かつ謙虚な姿勢で創作活動に臨み、それこそ深い海の底から探し出した言葉で綴られたものであるからこそ、著者の小説はあれほど魅力に満ちたものとなるのだろう。3.では著者がいかにアンネ・フランクの日記を愛読し、多くのことを汲み取っているかがわかる。4.と5.は著者の子供時代から現在に至る生活の様子が紹介されるが、随所で著者ならではの観察・考察に感心する。著者が私の実家のある芦屋に住んでいることは2年ほど前の芦屋市の広報紙で知っていたが、今でも住んでいるのだろうか。芦屋に限らず、私と4歳違いで同じようにプロ野球実況中継のラジオに耳を傾けていた著者に、ひいきのチームはライバルであっても私は同志のような意識を持っている。その著者がいとおしい言葉で織物を紡ぐように記した好エッセイ集。お薦めです。日本語と仏語訳の両方で著者の作品に接するデビット・ゾペティ氏の解説も秀逸。
身近に感じた。 ★★★★☆
「博士の愛した数式」の著者によるエッセイである。
巻頭はメイキング「博士の愛した数式」が述べられているのだが、もっとも気になったのは、本の真ん中あたり、緑色のページである。
このページは著者がアンネ・フランクについて書いたときのことや
後日談が書かれている。
「アンネの日記」を知らないひとはいないだろうが、実際に読んだひとはどれくらいいるだろう?
かく云う僕も読んだことがない。著者のアンネに対する思いを読み、これはぜひ読んでみたくなった。
本を読むきっかけなんて、こんなことからかも知れない。

本書は著者の日常を垣間見ることができ、興味深かい。小説を書くとき、著者はストーリーが決まっているわけではないと言う。
『私はストーリーが書きたいわけではありません。私が書きたいのは人間であり、その人間が生きている場所であり、人と人の間に通い合う感情なのです。(後略)』頭に浮かんだ人物が色々な場所を移動し、色々な人と出会う。著者はそれを観察し、言葉に置き換えていくのだそうだ。
ある意味、妄想を文章化しているらしい。
成程「博士が愛した数式」のあの自然な情景描写に納得できた。

あと驚いたのは、著者が岡山出身であること。熱烈な阪神タイガースファンであること、いまは芦屋に住んでいることなどあまりに身近にいたことだ。こんなことは一億一千万人いる人口の中では特筆することではないかも知れないが、ファンになるってことは、こんな些細な共通点からかも知れない。
分かり易く、説得力あるエッセイ ★★★★★
 難しいことも易しく書いている。「数」に宝石の輝きを見いだす数学者たち、著者の小説の『博士の愛した数式』は、数の美しさを愛する数学者に魅力を感じて書いた作品。「0の発見」=「非存在を存在させる」に関連して、小説家の自分も、言葉にできないくらい悲しいこと、うれしいことをも言葉にしなければならない、と言い聞かせている。「人は現実を物語に変えることで、死の恐怖を受け入れ、つらい記憶を消化していく」もので、物語が人間に必要なことを我々に優しく語りかける作家である(雅)