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The Hundred Secret Senses

価格: ¥692
カテゴリ: マスマーケット
ブランド: Ivy Books
Amazon.co.jpで確認
 『The Joy Luck Club』(邦題『ジョイ・ラック・クラブ』)で一躍ベストセラー作家になった中国系女性作家の第3作目。

   舞台はサンフランシスコ、白人の母と中国系1世の父の間に生まれた主人公オリヴィアに突然、中国から姉がやってくる。死に際に父が、移民前に中国に残してきた娘を呼び寄せて育ててほしいと妻に遺言したからだ。再婚した母からもっと愛されたいと苛立つオリヴィアには、つきまとうようにして世話を焼こうとする姉クワンがうっとうしくてたまらない。ところがこの姉は、死者たちと話ができる陰の目を持つ人だった。

   夜ごと、幽霊の話を聞かされたオリヴィアは秘密をもつことに耐えられなくなり、そのことを親に告げる。そのためクワンは一時期精神病院に入れられてしまう。それを負い目に感じてオリヴィアは悩み続ける。

   成人したオリヴィアが、死別した恋人への執着をいつまでも捨てない夫サイモンと離婚寸前の危機に立たされたとき、ひょんなことからクワン、オリヴィア、サイモンの3人は中国旅行へ出発することになった。桂林を通ってクワンの育った村チャンミェンへ到着するあたりから、ストーリーテラー、エィミ・タンの筆はがぜん冴えてくる。

   随所にちりばめられた陰と陽、前世、生まれ変わり、因果といった、東洋人にはなじみ深い考え方も、米国人が英語で書いた物語として読むとまた不思議な新鮮さを感じさせるからおもしろい。これは複数の文化的ルーツをもつ作家が、米国というフィルターを通して中国を読み解こうとする物語といえるかもしれない。

   不安と自信のなさに悩み続けた主人公が最後に「目には見えない感覚を信じることが愛を信じることだ」いうクワンのメッセージに気づくあたりはやや劇画的だが、「無数の秘められた感覚」という原タイトルは、西欧的なコミュニケーションからこぼれ落ちる「交感」の重要性を伝えている。米国的な市民生活と東洋文化のルーツとの葛藤から生じる苛立ちや不安は、物語を取り戻すことによってしか癒されないということかもしれない。(森 望)

「いま」を生きること ★★★★★
主人公のオリビアは、幼い頃にシングルマザーだった母親に愛されなかったことで、深い深い心の傷を抱えている。傷は過去のものであり、母親には悪気はなかった、仕方がなかったのだ、と大人になって頭で理解することはできても、心に残った傷を引きずったまま、オリビアは「現在」を生きることができない。

やりがいのある仕事、仕事上のパートナーでもある優しい夫、そして心から自分を愛してくれる姉。。しかし、どんなに幸せな状況にあっても満たされない気持ちや不安は消えない。。すべてが灰色に、絶望的に見えるオリビアの「生きにくさ」に触れる。

苦しみの末、姉の衝撃的な死を契機に、差し出された愛を受け入れることを学んでいくオリビア。自分を癒し、そして幸せにする決断ができるのは、結局は自分自身であり、そして同時に、抱えた苦しみを誰かのせいにして人生を台無しにするのも、また自分自身なのだ、ということを教えてくれる貴重な一冊。
著者の作品では最高です ★★★★★
著者の作品ではジョイラッククラブが一番有名かもしれませんが、こちがら一番優秀な作品です。この著者のスタイル等が好きな方は必ず気に入るはず。おすすめです。
やられた!まいった!人生のバイブルにします。 ★★★★★
本当にやられました。こんなに面白い本はないっ!

現世と前世で同時進行していく本筋のストーリーも、陰の世界(霊の世界)の話も、突拍子もないようでいて全く違和感なく引きこまれる。

中国系アメリカ人のオリビアはなんだかとても小さい人間で、まるで自分を見てるよう。そこに現れる100%中国人の異母姉クワン。彼女の破天荒な言動に言いようのない魅力と奥深さが詰まっていて、さりげない言葉やリアクションが、新鮮で時に身につまされたりもする。中国4000年恐ろしや。

作者のメッセージは、「肩のチカラ抜いて笑って生きよ。」てことなのかなと思い、大袈裟なようだけど、人生のバイブルにして生きていこうと本気で思っています。
それと、中華料理がむしょうに食べたくなった。

おすすめのとっておきの一冊。でも文庫本は絶版のようで日本語でも読みたかった私は、しょっちゅう古本屋を物色中です。

AMY TANの中で一番面白いです ★★★★★
さまざまな人間関係の中でいつもお互いを思い合い、長い時間をかけて相手を理解していたつもりが、実はまったく違うことを思っていたという、人間関係の難しさや、不思議につながっている過去と未来など、いろいろと考えさせられるものがありました。
中国に行ってみたくなりました。 ★★★★★
Amy Tanさんの本にはまり3冊目に読んだのがこの本なのですが、アメリカで暮らしている非アメリカ人の生活が文面を通してひしひしと伝わってきました。中国とアメリカの2つのナショナリティーを背負って生きてきたチャイニーズ・アメリカンの主人公が、中国人の姉を通して父親の母国の不思議な迷信の世界に少しずつ足を踏み入れていき、自分のアイデンティティーを見つけていく。そんなストーリーにとても感動しました。 描写も繊細で美しく、中国に是非旅行してみたくなりました。