必要なときに数字そのものから情報を収集できるかどうか
★★★★★
原題は「innmeracy」(基礎的な算数能力が欠けていること)。
本書のテーマは「必要なときに数字そのものから情報を収集できるかどうか」
「与えられた生の数字を元にして反論できるかどうか」ということである。
富士山(の土)をダンプカーで運び出すのにどれくらい時間がかかるか
人類の血液はどれくらいの量か
などといった設問に「答え」をしらべるのでななくて、手元にあるデータから
答えを導き出してみるというプロセスを経験することを通じて数字で掴む能力
を養おうということ。
「データがないからわからない」とすぐにいってしまいがちな自分に痛烈な
反省を促すきっかけとなった。さらに、世界の人口とか、日本のGNPとか
いった基本的な数字が頭にきっちり入っていないと、数字のセンスもくそも
ないのだということもよくわかった。
読みやすい本ではないが、情報を処理する力をアップさせるきっかけになる
良書。読むだけではなく、例題にあげられている設問に自分なりに答えを出し
ながら読むことが大事。
数字オンチの諸君!何だよっ喧嘩売ってんのか?!
★★☆☆☆
「ザ・プロフィット」の宣伝効果で売上が嵩上げされているに違いない本の一つ。出版社が意図したかどうかはわからないが、タイトルは数字オンチ・・・であって、「数学」オンチではないのでお間違えにならぬよう。数学の啓蒙書を期待する方はがっかりされるだろう。もっと内容に忠実に、確率統計オンチの諸君!とした方が良かった。ただ、いずれにしても「数痴」と呼ばれて愉快な人はいないのではないか。
肝心の中味は、つまらなくはないが基本的にはどこかで聞いた話が多い。大分前に書かれたようなので、他書が引用した可能性も否定できないものの、著者自身同じ話を別の著書で使い回していたりする。
原著出版後15年以上経って(本書の貢献があるのかないのかは知らない)、人々の「数字オンチ」も大分改善したと思われ、その意味では本書は既に役割を終えているように思う。
作者の意図から考えると、この本の試みは成功していないように思います。
★★☆☆☆
スライウォツキーの「ザ・プロフィット」の中で、定量的な思考の大切さを学ぶための参考図書のひとつとして紹介されていたので手にとりました。
作者の意図は「数学オンチの人に、数学を使った正しい見方に気づかせる」ことだと思いますが、その観点で評価すると成功していないと感じます。まず、数学オンチの人がこの本をわざわざ読む必然性がありません。数学リテラシーが一定以上ある人であれば楽しめるもろもろの話も「理解可能な能力がある人に説明する」だけでは、オンチの人には通じないのではないでしょうか。
訳者は苦労して、原題の「Innumeracy」を「数学オンチ」と訳されたようですが、この訳がまさに状況をイメージさせてくれます。オンチの人にいくら”正しい音楽”を聞かせても直りません。オンチの人はオンチに気がついていない場合も多いのではないでしょうか。
作者の意図とは違い、この本を楽しむ方は数学のリテラシーがある人でしょう。そういった方が、自らのリテラシーの向上、修正に使うというのであれば活用の場もあります。数学オンチの人を憐れんだり揶揄したり、あるいは自らの優越感を満たすために使われないことを祈ります。
電車で読むには・・・
★★★★☆
私が数字オンチなのかわからないが、電車で読むには勿体無い本だと思います。数字に纏わる事象が数多く登場しますが、事象だけを楽しく読むのもいいでしょう。ただ、それではもったいないと思います。机の前に座り、紙と鉛筆を用意し本文で紹介されている事象を自分で考えたり、もしくは単純に本に書いてある式を紙に書いて事象の背景にある確率を楽しみながら読み進んだ方が理解度があがるかなと思いました。興味深い内容が多いので楽しませてくれる一冊だと思います。
原題は、『INNUMERACY』
★★★★☆
数字オンチ(INNUMERACY)とは、数や確率といった基本的な概念をうまく扱えないことをいう。 情報化社会の今、世の中に数字は満ち溢れているが、大きな数字や確率の感覚に関しては、正確でない人が多い。 有名な例として、23人の人が集まれば、その中に同じ誕生日の人が少なくとも1組いる確率は、50%である。 飛行機でたまたま隣に座った見ず知らずの人が、知人の知人である確率は、1%以上、知人の知人の知人である確率は、99%以上である。 頻繁に起きることを、滅多にないことと思ったり、逆に、ほとんどありえないことを、よくあることと思ったりする。 そんな数字オンチの実例を挙げ、何故数字オンチになるのかを説く。 数字と確率に対する感性を鋭くしてくれる本です。