外見に阻まれた人格
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20世紀前半のアメリカ。まだ黒人が人権を完全に認められていない舞台で白人社会に認められようと、黒人青年は奮闘するが、すべてが裏目に出てしまう。白人に腰を低くして、社会に進出をしようとするが、心の片隅では、この主人公は白人の視点から世間を見ている。さまざまな人間、仕事を通じて「自己」を認められていると思い込んでいくが、彼に携わったもののほとんどが自分の利益、目的のために彼を利用したにすぎない。黒い肌という壁を身にまとっているかれの本当の姿を誰も見ようとはしないのだ。そのことに気付いた彼は、自ら透明人間として生きていくことを決意する。タイトルのインビジブル・マンは主人公の「自己」を誰も見ていない、つまり、人の本質が見えていないことをさしている。単一民族!の日本でも同じ様なことは日常的に起きていると思う。外見に囚われてしまい、お互いの本質を見ることができない。ヤマンバ・メーク、ふとっている、眼鏡をかけている等、外見的先入観に犯され、多くのインビジブル・マンを互いにつくりだしているのではないだろうか。