ハルカ堂
★★★★☆
―お前を、ずっと、汚したかった―
高校を辞め、一人稼業の漁師を継ぐ決意をした志堂にあてつけるように、東京の大学へと行くことをその前日まで黙っていた高田。
警察官となり十年ぶりに故郷に戻ってきた高田は、志堂と気まずい再会を果たす。
会えば喧嘩ばかりの二人だが、時折見せる志堂の熱い視線に、かつて一度だけ重ねた唇の感触が蘇る。
逃げ出したいのか捕ってしまいたいのか。
相反する想いを抱え、誰よりも男らしくあることに拘る高田は、自分の中に潜む女を認められず必死に目を背けるのだが…。
◆◇◆融通がきかない生真面目さとプライド、そして志堂との過去が災いしてなかなか素直になれない高田。一途で真っ直ぐな志堂に戸惑ったり、何事にも言葉通りに受け取る高田が抱える隠れた辛さ。好きなのに、変わっていく自分が怖くて前に進めない心情がリアルで切ないです。そんな時に起こった志堂の事故をきっかけに悩みながらも自分の想いに向き合えたラストは甘々ながらも2人のやり取りが楽しくて微笑ましい一冊でした。◆◇◆