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誰のための会社にするか (岩波新書)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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2009年に読めば・・・・・ ★★★★☆
 「会社は誰のものか」という問題については、既に解答が出ているものと思っていた。「会社は株主のものである」という解答が。新会社法でも、旧商法と同様、このことをより強めるような規程が盛り込まれている・・・・・。
上場企業にとっては、少し前から四半期決算を開示することにより、より株主寄りの開示が求められるようになってきたし・・・・・。
一方、従来までの伝統的な国内世論は、日本的経営の影響もあり、「会社は株主だけのものではなく、みんなのもの?」なる雰囲気があった。それが、本書にも書いているように、2005年3月の日本経済新聞のアンケートによれば、「会社は株主のものである」という考えの人が90%以上にも達しているようなのだ。

 本書は、2006年7月に出版され、「企業は社会的公器であり、経営者は株主の利益ばかりではなく、他のステークホルダー(従業員・債権者・顧客・下請け会社・地域社会等々)の利害も勘案して行動すべきだ」とする「ステークホルダー論」に立っている。因みに「会社は株主のものである」とする立場の会社を本書では、「株主所有物企業」と呼んでいる。

 どうなのだろう。はたして会社は「株主のもの」なのだろうか?「ステークホルダーのもの」なのだろうか。
少し前(2009年1月中旬)、某TV番組で伊藤忠の丹羽氏が「会社が株主のものであるとする時代は終わったヨ」と、時代の流れに逆行する、しかし本書の立場を擁護する個性的な考えを述べていたが・・・・・。
 本書が出版された2006年7月という時期と、2009年1月という現在では、経済状況が全く異なっている。当時は、2005年秋頃からの景気上昇機運もあった・・・・・。

 括弧書きの文章を多用するなど、本書は決して読みやすいものではない。第9章に著者の主張がすべて納められている。この章だけでもいいような気がしないでもない。前置きが長すぎるヨ、まったく。

  シャレかどうか、110ページの「内舞踏性」は、一体なんなのだ? 
 「内部統制」じゃないか。
近年の経営の変化に対する批判の視点 ★★★☆☆
 本書では、株主重視経営が次の2つの意味で相対化されている。1つは、「出資者による所有」という法令上の規定がある中でも、所有権の会社への権能は必ずしも絶対的なものではないこと。その意味で、著者による「誰のための会社にするか」という問立ては、1つの見識である。2つ目は、国際比較により、「出資者による所有」というあり方も、アングロ・サクソン資本主義の特徴であるに過ぎないことを示している。
 その上で、M&A促進政策やコーポレート・ガバナンス変革に対する批判的視座として、株価が合理的な指標とならないこと等の4つの視点が提示されるが、これらの課題を解決するための方向性として、企業開示の充実や競争促進政策には向かわず、ガバナンスにおけるステークホルダー民主主義のような政治的過程の構築に向かう。しかしながら、このような向きは、適者生存の原則に支配される市場経済の中で、生き残る制度となり得るのかという疑問があるとともに、仮に、このような政治的過程の構築に成功したとしても、そこでの決定の指針となるのは、引き続き経済学的な原理であると想像する。
 「日本経済の競争力ばかりでなく、日本社会の行方も考えてください」と訴える賢人の見識に引き続き耳を傾けるべき価値があることは認めるが、若干頭の固いところがある点は割り引いて受け入れる必要があろう。
いまこそ、日本的経営の良さを見直す好機であると考えさせられた。 ★★★★★
 アメリカの投資ファンドスティール・パートナーズが、サッポロビールに対して買収提案をしている。このファンドは、昨年も明星食品の買収提案をして、ホワイトナイトとして現れた日清食品に株を売却し、36億円の利益を上げている。今回も同様に利益確保が目的なのは明らかである。
 最近は、こういった敵対的買収が日常的にニュースに取り上げれられ、われわれも特に違和感なく受け入れている。

 本書は、こういった最近の株主至上主義に対する警告の書である。
 確かに、以前の日本では、今ほどまでに株主という存在は意識されることはなかった。株式持ち合いが日本的経営の良さとされ、株主の存在を意識せずに長期的な視点に立った経営に取り組むことができた。
 ここのところの様々な改革や、「失われた10年」を通じて、株主の権限を強化する流れが強まり今に至っている。

 また、最近ではフォードが創業以来の1.5兆円の赤字になったにもかかわらず、CEOに7億6000万円ものボーナス支給を決めたとの報道がされていた。

 本書によると、1960年代のアメリカ企業の社長の報酬は、従業員の平均給与の40倍程度であったという。それが今のように1000倍もの報酬を得る形になったのは、社長になるプロセスが、生え抜きではなく、外部からはいってきて株主総会から委任された取締役会と短期間の報酬契約を結ぶようになったからである。
 会社を株主の所有と考えていけば、このような形に行き着いていく可能性が大きい。
 著者は、このような「株主主権企業」への流れをせき止め、地域社会や従業員も含めた「ステークホルダー企業」を定着させていかなければならないとしている。

 いまこそ、日本的経営の良さを見直す好機であると考えさせられた。
新しい視点を提供してくれる ★★★★☆
ホリエモンや村上ファンドに代表されるような「株主こそが会社の持ち主であり、時価総額の最大化こそが企業の目的」との英米的(欧米ではない、念のため)価値観に真っ向から異論を唱え、企業は株主以外のステークホルダー、即ち従業員や取引先や地域社会にも責任を持つべきであると説く。

著者は英国人だが、欧米はもちろん日本企業にも明るく、事例や数値も交えていてとてもわかり易い。

最近の米国志向の行き過ぎた資本主義に違和感を持ちつつ、純日本的な年功序列・運命共同体的な企業は「もっと違う」と思っていたところに、いろいろな視点を提供してくれる。

特に従業員の賃金を「コスト」ではなく、(役員報酬や株主配当と同様に)付加価値の「分配」と捉えたところが素晴らしい。人件費を経営者の飲み食いと同じ「販管費」としか捉えられない会計基準はこの際見直すべきだろう。(僕も飲み食いしてるけどね・・・)

経営を学ぶすべての人に読んで欲しい一冊。
視点を変える(元に戻す?)本 ★★★★☆
ここ数年、世間も大きく変化したけれど、着実に自分の会社が変化していることを感じている人も少なくないのでは、と思う。「上場」自体がブームのようになって、いざ「上場」してみるとそれまでの日本的な会社風土を犠牲にして、株主と株価(世間体)だけを気にするようになる・・・。
この本は、こういう「ここ最近のどうも変だなという感じ」をわかりやすく整理して示してくれる。あーそうだよね、そうそう的な感じでとても共感を持って読み進めることができる。だから、モヤモヤの解消には非常に効果的。
ただ、その解決策がスッキリと出てきていない気がするんだよね。どうも読み終わっても、結局「変わらないのかなあ」というあきらめが・・・。