本作品は、落合正勝氏の遺作です。
また、これまで多数の著書を出版されてきましたが、本書はそれらの集大成ともいえるベストアルバム的作品です。これがあれば、他の落合氏の作品もエッセンスを理解することはできるとおもいます。

しかし、落合氏も、とうとう、この本でクラシコ・イタリアという言葉を使わなくなりました。

クラシコ・イタリアという言葉のわわりに、「クラシコ・イタリアーノ」という言葉を使っています。

クラシコ・イタリアという言葉が独り歩きしているのに嫌気がさしたのでしょう。「クラシコイタリア」というのは、イタリアの高級既製紳士服メーカーの業界団体の名称であって、スタイルではないのです。それを履き違えた日本のスーツメーカーの安っぽい宣伝文句に踊らされないためにも本書を熟読してください。

とにかく良い物をという姿勢が一貫しているのですが、潤沢な予算と保管空間がある前提なので大勢の消費者は落合さんに追随できません。
ほんの一部のみ追随したところで生活全体のなかで不均衡になります。
未だにデフレが続いている中では視点を変えて費用対効果を考慮した解説を今後期待したい。落合さんではもうできないのであれば他の方に期待したい。また、イタリアの高級な注文背広をどこで購入すれば費用対効果に優れているのかなどを知りたいです。また、イタリア現地で購入する際にクラシックな服を注文する際の用語などを教えてほしい。また日本での注文とイタリアでの注文では費用がどの程度異なるのか、技術がどの程度異なるのか、消費者の視点に立った解説をしてほしい。

’０５年夏はクールビズなる新しいトレンドがあり、悲しいかな少し干された落合さん。当代随一も政府（資本主義）が相手では痛し痒しだろう。
コラムの単行本化が増えてくるのはネタ切れ前兆現象の現れでもある。
夏場の劣勢からウォームビズで少し捲きかえそうとおもったのか１０月に新刊をぶつけてくるあたりはさすがに商魂たくましい。
だがしかし、スーツの下にセーターを着込まれては「落合流お洒落指南」も形無しである。
ここ数年のファッショントレンドは「レイヤード」であり、スーツの世界にも押し寄せてきている。
ヨーロッパファッション界の重鎮と面識があると自慢げの落合さんだが、彼奴等は金儲けのためにアプローチしているのだと言うことを落合さんはいまだに理解できないのか・・・
もうこれ以上日本では消費できませんがねェ。

　私は落合氏のファッションに対する考え方を支持する者であるが、さすがに最近はちょっとネタ切れの感がある。ボッテガ・ヴェネタの鞄とか、どこが良いのか全然理解できないもんなあ。