リスクマネジメントの出だしの頃
★★★★☆
リスクマネジメント、リスク管理という言葉が出始めていた頃、リスクとは、リスクを意識し、管理すること。リスクを無くすことではなく、リスクを認識し、リスクとどのように付き合っていくかを管理することである。というようなことがいわれ始め、びっくりした。結果的にはリスクをなくすということを企業ではやり続けたが、リスクは無くならない、という前提に立って、リスクを管理とすること。そのためには、確率を考えなくてはいけない。読んでいるときには結構意味不明な事も多かったが、後々意味がわかるような内容であった。結構長い内容であるが、下巻を読む意欲がわくかわからなかったが、結果的に読めた。
経済的リスクに対しての歴史・理論を読み解く
★★★★☆
過激なサブタイトルが目に付き本書を手に取った。
内容は基本的に、数学的・確率論的経済学の側面を中心に、西暦1200年前後〜近現代に至るまでの歴史的流れとそれらの理論の一部を行動心理学・哲学的な部分も交え論じている。
長年に渡り、リスクコントロールに関して培われたものが読み取れる。これらの理論はおそらく現代の金融工学のベースにも取り入れられている考え方だろう。
しかし、リスクに囚われ過ぎていて行動的・精神的にも弱腰になってしまいそうだ。
もはや Nagative Mental Atitude と言っていい領域。世の中には避けがたい不確定要素があるものだ。
「全て」の事において、否定的なアプローチから入ってみるも時には必要かもしれない。
非常に精神的に負担の掛かる作業ではあるが・・・。
ただ実体経済にはトレンドがあるので、そいうった部分を求めて新書の経済本をメインに読んでいる人には??? という感じかもしれない。(残念なのは一冊でカバーしている範囲が広く、内容が多岐に渡り散らばった印象を受け、私個人的には難解な部分があった。)
内容にも一部リンクするがタイトルが「神々」(GODS)と表現されていたのが個人的には多少安心出来た。
未来を予測することに挑んだ賢人たちの壮大な人類史(上巻)
★★★★★
よく、ビジネス書で必読の一冊にあげられている本書。
ようやく上巻、下巻を読み終えて、満足しています。
確かに、現代ビジネスパーソンには、必読書ですね。
特に、金融や経済学に直接関わっていない方々でも、
リスクリテラシーが声高に言われている今日、リスクに
関わる人類の長く、壮絶な思想革命を知っていることは
重要なことだと思います。
タイトルにある「神々への反逆」とは、紀元前も入れて
数千年にわたる、人類の「不確実な未来に関する」壮大な
智慧の戦いの歴史です。不確実な未来をいかにして、予見可能な
範囲に帰着させるのか?これに数理論理的人類の英知を傾けた革新
の物語。
古代ギリシャに始まり、行動ファイナンス、遺伝的アルゴリズム
に至る、「ものを数える」ことから「コンピュータを駆使した」
未来のシミュレーションに至る、ありとあらゆる、先人たちの
取り組みが、その人の個性や生き方も交えながら、あざやかに
展望していきます。
ぞの主軸は、著者が「はじめに」で語っているように、二つの
概念で包括されます。ひとつは、最善の意思決定は計量的手法と
数字に裏付けられた過去から敷衍できるというもの。もう一方は
未来への意思決定は、不確実性に対する主観的な信念で行うもの
といえる。
著者が目指す、記述の到達点は、資本市場における合理的投資
や投資家行動の、今日の到達点にいたる、歴史を、哲学、数学、
確率論、統計学、ポートフォリオ理論、分散投資理論、デリバティブ
や行動ファイナンスに至る智慧とビジョンとロジックを総括する
ことにあるようですが、なにせ、カバーしている分野が広範囲
なことと、登場する歴史上の人物があまりにの有名かつ人数
が多く、読んでいて恐ろしくなってくるほどの大著です。
上巻では、古代ギリシャから、19世紀に至る、数学、論理学、
統計確率、物理学の進展を、正規分布、平均、偏差の発見までの
道のりを、革新者たちのエピソードを軸に時系列的に語っていきます。
不確かな未来をより確実にするための、科学的アプローチ。偶然を必然にするために。
★★★★☆
リスク(未来に対する不確実性)をマネージメントするために、
過去の科学者や数学者たちがどのような思惟を巡らせていたのかを、
歴史的時系列に沿って紹介をしている本。
上巻では、かなり古代にまで回帰して、
- 数学の基本的な諸概念(ゼロの概念)
- 確率論の確立。
- 実際にサイコロの目を振ることがなく、将来を予測できる
(リスクマネージメント)の初めの一歩。
神様の運命によってではなく、ヒトの構築した理論で、
自分たちで運命を決定したり予測したりできるようになった、
その所以について。
ここで、上巻は終わっている。
おそらく具体的なリスクマネージメントや金融工学への応用は、
下巻で明らかにされるのかと思う。
リスクについての基盤がしりたいだけなのであれば、
いきなり下巻から読んでも特に問題はなさそうな本。
文庫本として発売されているが、内容はそれなりにテクニカルで、
それなりに興味がないと、読んでて結構大変だと思う。
運命に身を任せることに抵抗を感じる人には、
すごく知的にスリリングな本だと思う。
リスクの概念というより歴史
★★★★☆
歴史が好きな人は知的好奇心を刺激されると思う。
手っ取り早くリスクについて学びたい人には不向き。
数学がいかに実学としても役にたってきたのかを知ることができた。
人名がたくさん出てくるが、学生時代に目にした人が多い。
最後のほうで、デリバティブ(金融派生商品)がなぜ登場したのか、
何に有効で何をしたから問題になったのか、わりとわかりやすく
記載されている。(門外漢でもなんとなく理解できたつもりになった)
訳文がとてもしっかりしていて読みやすい。
文庫本でこれだけの内容を学べるので、買って損はしないと思う。