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女たちの遠野物語 - 十二話でわかる遠野物語の世界

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: 焚書刊行会
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■作品紹介

全119話ある『遠野物語』の中から、女性にまつわる12のエピソードを選出して再構成したダイジェスト版『遠野物語』。
出来あがったのは、妖怪でも昔話でもなく、現代とかわらない感性を持った百年前の人間の姿でした——。

日本文学の名作、柳田國男の『遠野物語』にかつて挑み、読み切ることができなかった人にこそ読んでほしい“女たち”の遠野物語。解説は、岩手県遠野市出身の佐々木大輔が務めさせていただきます。

■もくじ

1. 大海嘯で死んだ妻 … 19世紀末の三陸大津波の記憶とNTR(寝取られ)
2. 邪宗の念仏者 … オシラサマを語ったおばあさんは、まじないで蛇を殺し鳥を落とす
3. 鎌で切られし姑 … 「発言小町」向きの嫁姑問題。オチはつげ義春的
4. 山女の夫が形見を取り返しにくる話 … そんな簡単に人を撃つな
5. 山人の妻となった女 … 誘拐されたり人質になったりした人が犯人に恋するあれ
6. 斧を拾いし娘との約束 … あちちあち。なにしてんだろうか
7. 待てちゃア … それは「太陽のマテ茶」
8. 死助の山のカッコ花 … パズドラやLINE POPに夢中になるのと変わらない百年前の風景
9. おばあさんが来た! … ドリフ的です
10. 川童を産む … 妖怪の話、ではなくて単なるゴシップ
11. サムトの婆 … 夢を語って上京したきり盆暮れにも帰ってこない音信不通の親戚のようなもの
12. マヨイガの赤き椀を拾いし女 … 大人の階段のぼる〜♪

■はじめに(本書から抜粋)

 2010年に刊行百周年を迎えた柳田國男の『遠野物語』。今年2013年は、柳田國男の没後50年が経過しその著作がパブリックドメインとなる年で、青空文庫でも無料公開されるなど、より手に取りやすい環境が整いました。

 しかしこの『遠野物語』が、いまも読者に親しまれているかというと、残念ながらそうではないようです。同じく今年パブリックドメインとなった吉川英治の『宮本武蔵』が漫画『バガボンド』の原案として親しまれているのに比べると、なんとなくとっつきにくい作品だと思われているのではないでしょうか。日本民俗学の源流として学徒の教養図書になるか、民間伝承を美しい文語調にした文学作品として鑑賞されるか、そのどちらかしかありません。

 そこでこの本では、『遠野物語』のもうひとつの楽しみ方の提案をします。テーマは「女性」。百年前に書かれた遠野物語のなかから、女性にまつわるエピソードだけを選んでご紹介します。河童や座敷童や山人が登場する怪異譚ではなく、現代の感性にも通じる普遍的な共通項を、遠野物語のなかに再発見していければと思っています。

 私にその資格があるのかと問われると、特に根拠らしいものはありません。
 柳田國男は、遠野出身の作家志望の青年・佐々木鏡石氏からこれらの話を聞いたわけですが、それを同じ遠野出身の人間(私・佐々木大輔)が現代に蘇らせる手伝いをしたらおもしろかろうという、洒落によるものです(遠野には佐々木性の人間がたくさんいますので、名字が同じなのは偶然です)。つまり私は、パブリックドメインになった作品を電子出版で再編集したらおもしろかろうと企んでいる一人の出版人に過ぎません。
 しかし、柳田が初版序文で語った言葉が私を勇気づけます。

<思ふにこの類の書物は少なくとも現代の流行にあらず。いかに印刷が容易なればとて、こんな本を出版し自己の狭隘なる趣味を持ちて他人に強いんとするは、無作法の仕業なりといふ人あらん。されどあへて答ふ。かかる話を聞きかかる処を見て来て後、これを人に語りたがらざる者はたしてありや。>

 これを私は、次のように言い換えたいと思います。

 いかに電子書籍を作るのが容易なればとて、パブリックドメインの作品をコピペして売りつけんとするは、無作法の仕業なりといふ人あらん。されどあへて答ふ。自らが生まれたる土地に言い伝えられしおもしろき物語を知りて、これを人に語りたがらざる者はたしてありや。

 原典の百十九話から厳選した十二話。どうぞ最後までお楽しみください。

■著者プロフィール

柳田國男(1875年~1962年)。作家。民俗学者。代表作に『遠野物語』『蝸牛考』『海上の道』など多数。日本民俗学の開拓者として知られる。

佐々木大輔。1980年生まれ、岩手県遠野市出身。ウェブプロデューサー。編集者。ブログや電子書籍といったパーソナルパブリッシングの分野で、プラットフォーマーから著者まで務めるパブリッシャーとして活動中。
著書に、『セルフパブリッシング狂時代』(2012年)、発行・編集に『ダイレクト文藝マガジン』(2013年)など。