ワックスにはいつも賞賛がついてまわり、その間、MIDI制御器やラップトップやら、他の色々な専門機器も、あらゆる場所のDJたちに新しいアイディアを与えて来た。一昨年、世界中でトップクラスの人気を誇るサッシャは彼のアルバム「インボルバー」の発表の際、収録された10曲に、ソフトで曖昧な雰囲気があって、しかも、非常に踊りやすい要素を新たに組み込む大改造を行った。しかし、残念な事にライブ会場では、スタジオならうまくいくトリックはうまく反映されなかった。それゆえ、彼は回路、スイッチ、プロセッサーを搭載したMAVENと呼ぶ独自の機器を作り、それを、『フアンデーション』で試してみたのだった。その結果と言えば、皮肉な事だが、頭でっかちで考える人たちにも、まったくそんな工夫など感じさせないような自然な音作りになっている。このアルバムは、199年発売されたイビザ以来の最高にハウスっぽく、クラブシーンにぴったりの音楽だ。収録された全17曲はバラバラにさ切り刻まれて、エレクトロ・サウンドと一緒に客に供される。特に、最後の2曲、ゴールド・フラップとM83は、超ノリノリの曲。まるで、聞く人自身がターンテーブルがないDJになってしまったような気分が味わえる。でも先端機器がどうであろうが、とどのつまりは同じ。混沌と夜更けの至福を味わう人々の群れ。音楽がデジタルに分解される世界ではやっぱり、サッシャのように目先が利くアーティトだけが受け入れられるのだ。（マシュー・クック, Amazon.com)