3本の糸が絡みあう様に
★★★★★
北海道警察シリーズ第3弾にして、「笑う警官」から始まった「郡司事件」の最終決着編です。
「郡司事件」からしてそうとう「闇」が絡んだ事件だと思うのですが、その奥には更に一層深い「闇」があったというのが本編の物語です。
作者の上手さは、津久井卓・佐伯宏一・小島百合の3人の全く関係のない話を、3本の糸を編むように実に見事に織り上げてゆき、大きな流れの話として完結させてゆきます。
そのダイナミズムは、読者をして本を置かせず一気に最後まで読ませてしまいます。
このエンターテイメント性こそ、作者の持ち味であり、読者が期待するものだと思います。
書かれている中身は、考えてみれば大変なことなのですが、そこはさらっと警察小説として「楽しみ」として読んでしまる楽しい本でした。
道警シリーズの3作目
★★★★☆
笑う警官からはじまった道警シリーズの3作目です。前作までを文庫で読みました。個人的に面白いシリーズだと思います。他の方がレビューで言うように、それとなく「笑う警官」から繋がったストーリーになっていて、その当時の話もよく出ます。今作は特に、1作目の事件がでてきます。
物語は、笑う警官の話の後、1人の警官の自殺からはじまり、それから2年後の話。佐伯の元に愛知県警の服部から佐伯達がかつて追っていた事件についての情報を聞かされる。それは郡司事件に隠された疑惑。佐伯は1人でそれを調べていく。自殺した警官の息子(警官)が、洞爺湖サミットの結団式の3日前に失踪。職務中に消えた事から、彼の行方を津久井が追う。小島百合はストーカーをしていた男を逮捕した実力が認められ、女性大臣のSPとして結団式に向かう。今回は佐伯が1人で行動してるため、新宮の出番はあまりない。
前作と同じように、メインの登場人物達がそれぞれの仕事を進めていくうち、やがて1つに繋がっていく。物語の背景の設定がすばらしく、読む手が止まらない。
ラストに本部から呼び出しがあり、事件があったようで、4作目はその事件のお話になるようです。こうなると早く読まなければ気が済みません。これから読むつもりです。
道警シリーズをはじめて読むなら、ぜひ笑う警官を読んでみてほしいです。
前作2作が良かっただけに
★★★☆☆
少し、盛り上がりに欠けた感がありました。
事件も、恋愛も次に続くという感じで。
きっと、次回作も買ってしまうのでしょうが。
今後の展開に期待するも。
★★★★☆
道警シリーズの三作目。期待を裏切らない内容で納得したが、ある意味シリーズ1作目から読まないとシリーズの展開がわかりにくい部分もあり、単品としての作品とは別に連作物の難しさ、限界が出てきたなと直感。裏金問題、大麻取引と腐敗した警察組織を再生したい主人公達と、様変わりしない警察組織の暗躍然とした闇の部分を大枠にし展開する物語の展開は、とにかく面白い。但し、レベルが高い作品だけに、今後のこのシリーズの盛り上がりに期待してしまう。
うまい!
★★★★★
シリーズものではあるが、前半から、別々の5つのスタートが平行時間で始まり、ラストで3つが上手く絡み合い、そして次回作につながっていく。
役者がそれぞれの個性を引き出しながら、そして新しいプロットも産み出していくという佐々木氏の作風には感心する。臨場感たっぷりで実に上手い!
すでに次回作が待ち遠しい。