アコースティック・ベースではRay Brown，Paul Chambersばりの演奏を展開するChristian McBrideのリーダー・アルバムであるが，ここでは前作に続いて自己のバンドによるコンテンポラリー・ジャズ路線を展開している。一聴して，Weather Report色が濃い演奏（最後はWeatherのBoogie Woogie Waltzをプレイ！)であり，Brown，Chambersタイプの伝統的なモダン・ベースを期待するリスナーには勧められない。演奏はタイトなリズムにRon BlakeのこれもWayne Shorter的なテナー，ソプラノが乗るというパターンが全編に展開されていてそれなりに楽しめるが，今のところバンドとしての個性には乏しい。Weatherの呪縛から解き放たれたときのこのバンドの演奏に期待したいところ。ベーシストとしての実力は天下一品だけに，この程度の出来では惜しいし，今後モダン・ベース・プレイがサイドマンとしての活動にしか期待できないのではあまりに寂しい。尚，Enhanced Programには"Boogie Woogie Waltz"の演奏シーンやインタビュー，イメージを収めているが，オマケの域は出ていない。