Redman, Hargrove, McBrideについて
★★★★☆
盟友Joshua Redman(sax)やRoy Hargrove(tp)が参加。この世代というのは、90年代に入り進化のスピードが鈍化したJAZZというジャンル全体の「行き詰まり感」を背負い込んで若手時代を送った世代である。80年代まで現役バリバリだったマイルス一派に代表されるジャイアンツ世代と、クラブ・ミュージックの洗礼を直接受けたジャム・バンド・ムーブメントに挟まれた谷間の世代というか。
このMcBrideもそうだけど、90年代に「期待の若手」だった彼らは、ストレート・アヘッドな保守本流の音をいかに伝統芸能にしないか、という大変難しいことに意識的に挑戦していた。決して新しくはない地味な音でスリルを維持するためには、演奏力に磨きをかけるしかないわけで、テクニックだけでいうと今生き残ってるこの世代のミュージシャンは、やっぱりとても上手いと思う。
この垂直深堀りのベクトルを徹底したその後、彼らが皆ジャンルを横断していくようにベクトルを水平展開していったのは自然なことだ。ただ、目の前の「壁」を突き破る進化のダイナミズムが薄い分、マジメなんだけど小粒な印象を彼らに対して持っているJAZZファンは、特に年配の方には多いのではなかろうか。(僕自身、そういう驚きを未だJAZZに求めているので、星は1つ減点している。)
彼らと同世代の僕はバブル後の就職氷河期に社会人になった世代だが、この3人の背負い込んだ生真面目な苦労というのには、結構共感するものがある。90年代の、HargroveやRedmanの音が好きな人はオススメの一枚でしょう。
彼らが当時共通して抱いていた問題意識、面白さ(とつまらなさ)、JAZZへのこだわり、などが詰ってます。勿論、演奏テクニックは申し分ありません。