脊髄損傷になったバイク好きの青年はこうして歩いた
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本書は実話をもとに書かれた物語です。
モータースポーツが大好きな青年は、たった数秒間の事故で人生が変ってしまった。
彼は救命救急センターに運ばれ、生死の淵を二日間彷徨っていた。
彼の人生を変えたのは、脊髄損傷であった。それによって下半身が不随になり、彼の日常生活は一変した。
驚異的な生命力で二回の大きな手術にも耐え、死との戦いにも勝った。
しかし、彼を待っていた日常生活は、人間の尊厳を奪う脊髄損傷という試練が待受けていた。
健常者なら数歩の移動で行えることも、困難で不便な車椅子の生活であった。
そして、医師の宣告は、残存機能を活かした日常生活のためのリハビリをやることを勧めた。
「脊髄損傷により、中枢神経が遮断された場所の感覚機能、運動機能の回復は望めない」と、
現代医療の常識とされている烙印を宣告するのである。
リハビリ専門病院に転院してリハビリをやるのだが、彼は入院中のリハビリに疑問を抱き、
「自分の脚で歩けるようになりたい」という強い願望を持つようになった。
ところが、現在の脊髄損傷者に対するリハビリの現状は、それを許さなかった。
彼は、その精神的な葛藤を克服し、肉体的な不自由さも受け入れた。
自分の脚で歩くという挑戦を決断した事が、その後、彼の意識レベルを向上させ、
人が生きるための大事な意味を発見した。
リハビリ専門病院を退院し、彼の挑戦が始まった。
毎日5時間の訓練で体幹が鍛えられ、訓練をやり続けていれば、やがて脳からの指令が
僅かであるが傷ついた中枢神経に伝わっていく。
この訓練をやることで得られる、メリットが二つある。
① 脊髄損傷者は、機能が失われたところを自分の意志で動かすことはない。
それはやがて、廃用性委縮なり、脊髄損傷者は短命と言われている。
それを防ぐ効果がある。
② 再生医療の発展である。
iPS細胞の研究が進み、今まで再生不能と考えられていた中枢神経の再生が可能になってきた。
そのための準備として、不随になった所を日頃からリハビリで鍛えておくことが重要であると山中教授も言われていた。
本書は一人の脊髄損傷になった青年の物語であります。
しかし、脊髄損傷者は毎年約5000人くらい増えています。
今まで常識と思われていた医療も変遷しつつあります。
この青年のような脊髄損傷者の思いを少しでもご理解頂き、
医療現場で脊髄損傷者に携われている方にもお読み頂ければ幸甚であります。
目次
第一章 数秒間のできごとが人生を変えた
第二章 命があったことの救い
第三章 リハビリ専門病院へ転院
第四章 光と輝く希望を掴む