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玄奘三蔵、シルクロードを行く (岩波新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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余人には書けない紀行 ★★★★★
 著者は非常に守備範囲の広いアジア文化史家。翻訳や現地調査の優れたオーガナイザーでもあって、エリアーデ、デュメジル、バンヴェニストらの本格的紹介に絶大な功があり、現在もアフガンの古代遺跡調査、復興支援にと大活躍中である。安楽椅子に座って思弁をこととする徒輩とは真逆の人。本書にも行動派の面目が遺憾なく発揮されている。
 同じ岩波新書の前嶋信次『玄奘三蔵』と併読するのがよい。シェーファー『サマルカンドの金の桃』、折よく全訳された『高僧伝』(岩波文庫)なども背景を知るには絶好だ(ただし玄奘が収録された『続高僧伝』の現代語訳はないようである)。高雅な文学性に溢れる前嶋博士の伝に劣らず本書の文体も雄勁な風格を具え、随所に挟まれた、アレクサンドロスの事績やゾロアスター教にも詳しい著者ならではの知見が独自の魅力と広がりを添えている。
 ガンダーラを望むところで終わっているのが心残りだが、続編はきっと書かれるに違いない。なお、同著者の『バクトリア王国の興亡』もいまだ類書のない研究であり、心ある版元による再刊を切望する。
 
 
長い旅路を簡潔にまとめてある。 ★★★★☆
本書では、玄奘の長安からガンダーラまでの苦難の足跡を、必要なエピソードなども交えて簡潔に書かれている。
玄奘がシルクロードの旅の行く先々の王や統治者に歓待され、望まれるままに講話などをしながら多くの喜捨を受けたから旅を続ける事が出来たことが理解できた。
その距離と道筋を考えれば、難行苦行の連続だったとは思うが、意外と支援者に恵まれ、多くの随行者なども従えての旅だったのだろう。
玄奘が持ち帰った経典の多さを考えて、不思議だった疑問が本書を読むことによって氷解した。
玄奘がバーミアン到着した時、眺め、祈った大仏が、2001年3月12日に、世界中の願いもむなしく、タリバンによって爆破され、今、その姿を観ることが出来ない。
著者が玄奘のガンダーラ到着をもって筆を置いているのが残念で、続編を期待したい。
シルクロードの乾いた空気と熱気がよみがえる ★★★★★
いやぁ、よかった。面白かった。
1度旅行で訪れたことのある、はるか「シルクロード」。乾いた風、熱い熱気、天山山脈の風景、砂漠の遺跡、緑美しいオアシスの街などの風景や空気がよみがえってきました。
玄奘が旅をした時代とは、もちろん違う景色だろうけれど、あの西域の、険しい地域を、僧として旅した玄奘とは、いったいどのような人物だったのだろうか。
どうやら、西遊記で描かれる線の細いやさ男とは全く違う、「熱く」「骨太で」「超人的な体力があり」「弁がたつ」文武両道のスーパーヒーローだったのでは。
玄奘とともに、心躍らせながら、悠久の歴史と風景を旅することのできた書でした。
シルクロードの雰囲気と玄奘三蔵のキャラクターの両方が楽しめる ★★★★★
誰もが名前だけは知っているであろう、玄奘三蔵。
彼の「大唐西域記」を元に、その旅路をたどっていくのが本書。
読みやすくも雰囲気のある文体で、当時のシルクロードの雰囲気が目前に迫ってくるような一冊です。

まず、玄奘三蔵の生い立ちから書かれているのがいい。
彼の記述した資料を詳細に分析した本はいくつもありますが、意外と玄奘三蔵本人のキャラクターにスポットを当てた本はなかった気がする。
とにかく、相当熱い人物であったことがわかります。

また、西域各地の風俗を玄奘がどう見たかという視点を分析しているのも興味深い。
たとえば、彼は西域各地の国々の言語をかなり詳細に観察しており、「○○国と○○国の言語は近い」などという分析をしたりしている。
これは著者も言うとおり、まるで現代の文化人類学者の視点であり、1400年も前にその域に達していたというのだから、驚くべきことだ。

とにかく面白い一冊でした。
本書はインドに到着したところで終わっているのですが、インドでの玄奘を書いた本も読んでみたいところです。