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黒い悪魔 (文春文庫)

価格: ¥940
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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デュマの父親 ★★★★★
三銃士などを書いたアレクサンドル・デュマの父親を主人公とした小説。

やっぱり佐藤賢一はフランスを描いた小説がいい。とくに今回の時代はフランス革命からの時代で、自分にとっても興味があったので、あっという間に読み終えてしまった。

フランス革命の自由、平等、博愛といった精神をデュマが体現している。『褐色の文豪』も早く読みたい。
鬱々した雰囲気にストーリーが重くなった・・・ ★★★★☆
18世紀末の革命期フランスが舞台。
「三銃士」「モンテクリスト伯」等の冒険小説で著名な作家アレクサンドル・デュマの父親が主人公。
黒人奴隷女性と白人農場主の間に奴隷として生まれたが、数奇な運命により一兵卒から革命期の動乱の中で異例の出世を遂げ、共和制フランスの将軍、後にナポレオン配下に入った、まさに波瀾万丈、すさまじいばかりの上昇志向で突き抜けていった一人の男を描いた。

だが立身出世物語にしては、爽快感は少ない。爽快な場面はあるのだが、どうも彼を妨げる元奴隷という呪縛や、上司、上官との葛藤といった場面が損なっているように思える。
著者としては単純なサクセスストーリーを描くつもりはなかったということだろうが、華々しい活躍にも関わらず主人公を取り巻く鬱々とした雰囲気がストーリーを重くしているように感じた。
主人公からすると年下になるナポレオンとの皮肉な巡り合わせや、苦みのあるラストが印象的。
充実の一冊 ★★★★☆
奴隷と農場主の間に生まれた男が軍人となる、奴隷であった過去を振り切るがごとく軍人として野望を秘めてのし上がってゆく主人公。ことごとく反体制的な、自分で自分の首を絞める行為をしでかしてしまう、不器用な生き方をする。奴隷出身、黒い肌、自分を見捨てた父親、などコンプレックスの為か、時は恐怖政治真っ只中、ギロチンがパリの町を赤く染めたフランス革命。2部ではナポレオンとの対面、頭脳派であるナポレオンに嫉妬し、尊敬し、服従し、エジプトの前線で戦うも、利己的野望を成し遂げようとするナポレオンと対立し、エジプトを去る。ここでも言わなくてもいいものを、ナポレオンの妻との過去を暴き、死ぬまでナポレオンに冷遇を受ける羽目になる。ストレートに野望を成し遂げよとするナポレオンに対し、理想なくしては奴隷と同じ、と権力に背を向ける主人公、帰国の途で捕虜となり、病に倒れる。妻の元へ戻り、すべてを失ったと思われる主人公に、家族、息子が希望の光となり、主人公の最後を穏やかなものとする。
潔癖な人、自分を客観視できない人にはお勧めできません ★★★★☆
舞台はフランス革命前後のフランス、主人公は文豪アレクサンドル・デュマの父、混血の風雲児アレクサンドル・デュマ。
ですが、描写される主人公の心理は現代人のものです。

閉塞した世界の中で、息苦しさに耐えかね、自分は自分の才能に相応しいものを与えられていないと憤る男の話。
(マッチョで奴隷出身なジュリアン・ソレル(赤と黒)の話って気もしますが・・・)

簡単に自惚れに転換する自尊心と、「アウトローとして生きてやる」と開き直っても、社会に認められる事を諦めきれない自己顕示欲。
心の奥底では自分を浄化してくれる聖なるものを望む弱さと健気さ。
なのに、欲望に弱く、己の行いを改める強さを持てず、と言って、己の犯した悪行を「それがどうした」と開き直る事もできず、自己正当化する。

このような現代人的な「業」を持つ主人公を受け入れられるかどうかで、この本を楽しめるかどうかが決まると思います。
あけすけに、身も蓋もなく主人公の行いと心理を描写するのが得意な著者の作だけに、潔癖な人や、自分の「業」を客観視できない人には不快感が募るだけかもしれません。
 逆に、自分を突き放してしまえる客観性を備えた人ならば、主人公の行いを我が身に照らして感じる所もあるかと思います。

将軍 ★★★★☆
フランス革命を経て樹立された「共和制」を、
かつて奴隷であったという劣等感を断ち切る術として、
愚直に信じる男アレクサンドル・デュマ。
彼の軍人としての破格の栄達は、
恵まれた体格によるところも大きいが、
深層意識に常に渦巻く「奴隷に戻りたくない」という気持ちが
反動となり現れたことが大きい。

混沌を極める革命後のフランスで、

同じく台頭してきたのがナポレオン・ボナパルト。
彼にとって、共和制とは自己の栄達のために利用すべき手段でしかなかった。
運命のいたずらとだろうか、
信条の異なる二人は、ある時は互いを利用し、
またある時は反目し、決定的な決裂へ向かい突き進んでいく。

二人の確執に加えて、随所で描写されるデュマの内向的思索が物語に厚みを加えている。