前半3分の1なら星5つなのだが後半はよくある話だった
★★★☆☆
大変に好評のようなので読んでみたのだが、結論から言うと、この本がMiraから出ている事にもっと注意を払うべきだった。
導入は非常にわくわくさせられた。
殺人を犯したヒロインYelena(20)が一年近い地下牢生活から刑執行のために連れ出されると、そこには究極の選択が待っていた。絞首刑かまたは、前任者が死亡したためちょうど空いた最高司令官のための食事毒見係、このどちらかを選べと。
毒見を選んだ彼女に訓練をさずける男Valek(32ぐらい)はいわば秘密警察、公安の長であり、感情を容易にはみせない。
物語の舞台は中世的で、武器は剣と弓矢であり、移動は徒歩か馬に限られている。そして、この最高司令官は、前国王を武力で倒したのち軍事独裁を敷いており、子供に高等教育の機会を与えず職業を割り振り、国民全員に職業別に色の決まった制服を着せている。
「未来世紀ブラジル」や「1984年」を思わせる近未来SFが中世にスリップしたような設定である。
Yelenaに息子を殺された将軍は復讐を誓って彼女を付け狙うし、彼女を嫌う使用人も多い。最高司令官の命を狙う陰謀もある、毎食の毒見のサスペンスフルなこと、、物語がどう展開するのか、とても楽しみに読み進めたのだが、どうも話は剣と魔法のよくある物語になっていった。
そうなって欲しくなかったが、ヒロインはあれよあれよと最強ウォリアーになってゆくし、敵はいかにも悪役というステレオタイプの枠からはみ出ない。ロマンス色が濃くなってゆくのだが、正直なところYelenaやValekの魅力も前半の方が複雑で多面的な感じがした。
ストーリーとは別に気になる点があった。
世界設定がどうも信憑性に欠けるのだ。
中世的リソースしか無いはずなのに生活がこざっぱりしており、登場人物は現代人のようなしゃべりをする。まるで昔みたスタートレック、見知らぬ惑星に降り立ったエンタープライズ号の乗組員を見ているような気になる。
GodやHellという言葉が不用意に使われるが、宗教や信仰と思えるものは何ひとつ登場しない。
皆が色別制服を着ているような世界を最初に提示したわりに、とりたてて掘り下げがなく、導入のウケを狙ったとしか思えない。
汚物もそのままかもしれない不潔な地下牢獄でロマンスするシーンも非常に疑問。納屋の干し草じゃないんだから。
着想は大変面白いし才能を感じたが、ネタに終始した物語で、読み終わってみれば展開がなかった。3部作シリーズの1作目なので、これからしっかりと展開するのだろうか?
星は4に近い3という評価にした。
マキリップ ファンにお勧め。
★★★★★
何かおもしろい本はないかな?と探している時に読者の書評に目がとまり、買ったのですが。 おもしろかった!!!
Twilightも全部おもしろく読みましたが、あれとは違ったおもしろさ。
どうしてもっと有名ではないのでしょう?
どういう傾向かというと、パトリシア マキリップみたいな感じといえばわかるかな?
マキリップファンには絶対おすすめ。
続きがまだ二冊あるらしいので、読むつもりです。
ヤングアダルトやロマンス本のカテゴリーに入れるべきではない傑作
★★★★★
SF、ファンタジー、ロマンス、歴史のカテゴリーが好きな高校生の娘とその友達から「面白そうな本を探してくれ」と依頼されて見つけた本。
まだ十代の若い女性Yelenaは殺人罪を犯した死刑囚である。だが、コマンダーの毒味役を引き受ければ死刑を免れることができると選択を迫られる。死ぬまで職を離れることができない毒味役は、毎日解毒剤を飲まないと死ぬ毒を与えられているのでどちらにしても二度と自由にはならない身の上だ。
Yelenaの上司はかつて悪名高い暗殺者のValekだ。Valekの厳しい要求、毎日死に直面する恐怖、彼女の暗殺を狙う敵、誰を信用してよいのかわからない孤独……、Yelenaのサバイバルの試練に読者は息をつくのも忘れるだろう。
作者が作り上げたこの不思議な世界は、「自由民主主義」と「共産主義」の利点と欠点についても描いている。ただのロマンスやヤングアダルトのカテゴリーに入れるのはもったいないし、失礼だ。それくらい完成度が高い傑作である。
私がこの本を勧めた高校生たちもそう思ったようで、(爆発的な人気の)「Twilight」より断然面白い!と言っていた。とくにValekは娘によると「(Twilightの)エドワードなんかより、ずっとHOT」という感想で、これは母としてちょっと心配であるが……
いや〜、面白かった、次の巻も注文した
★★★★★
イリーナは地下牢から引きずり出された。じめじめとし、真っ暗で、息が詰まりそうないやなにおいがこびりついた地下牢から。ここに放り込まれてから一年以上たっている。罪名は殺人罪。南部地方軍区の将軍の息子を殺したから。将軍経営の孤児院からお屋敷に移されてからは地獄の日々だった。単純な虐待ではなっかた。将軍の息子が担当するようになってからはもっとひどくなった。息子本人が色々工夫して恐怖と苦痛を加えたのだ。溜まりにたまった怒りが爆発して、気がついたら殺していた。この国では、どんな理由であろうと、人を殺したら死刑、と定められている。地下牢から出されたということは、処刑場へ連れて行かれるということ。
しかし、新しい冒険が待っていた。