本作が光っているのは、何より、本作の事実上の主人公であるクローンのマークの性格、内面描写の秀逸さにある。解説で引用されている作者自身の言葉にあるように、エンターテインメントでありながらクローンのアイデンティティやモラルの問題を深く追究した一編に仕上がっている(「芸術的」というのは言い過ぎだと思う)。スペースオペラ嫌いの文学派のSFファンにも薦められる作品といえる。
ビジョルドはやっぱりキャラクターが命ですね。世界とキャラクターがあって、あと語りたいメッセージをブレンドすれば、ストーリーが出来上がる。キャラクターにのめり込んじゃうともう逃れられません。
もう次が読みたくて仕方が無い。