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日本人のための英語音声学レッスン

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 大修館書店
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英語音声学の入門用テキストとして推薦 ★★★★★
音声学の教科書です。アメリカ発音が主です。網羅的で簡潔にわかりやすく書かれています。よくできていると思います。IPA(国際音声記号)を使用しています。 個々の母音・子音の発音記号を説明しています。しかし、舌の位置・唇の形を示した断面図のイラストはありません。子音結合(子音連続)について、詳しく説明してあります。イギリス発音に関しては、別に1章が割かれています。この本の発音記号の表記と読者の辞書の表記を比較するワークシートが用意されていて、注意を喚起されます。つづり字と発音の関係(フォニックス phonics )についての章があり、リーディング力の向上に役立ちます。ただし、他の教室用教科書も同じかもしれませんが、連続発話 connected speech における連結、同化、脱落などの音声変化 phonetic variation については、簡潔に説明されているだけです。音声変化の習得は、「英語の発音パーフェクト学習辞典」などの教材を利用するとよいのではないでしょうか。 CDの音声は、女性と男性の声で、1回ずつ録音されています。また、著者が書いているように、この本は枠組み・理論が中心で、発音練習には他の教材が必要でしょう。
自習用には適さない ★☆☆☆☆
大学などでの授業で使うのであれば、教師が補足することができるだろうが、読んでいて、意味が不明なことが多い不親切なテキストだと思った。例を挙げると、<引用>「流音」というのは音声学的な定義はできないのだが、/l/や/r/に類する音をこの名の下にまとめて扱うことが多い<p.53>とある。

なぜ音声学的な定義ができないのか、なぜ流音と呼ぶのかなど、説明不足ぎみだ(はしがきによると、著者自身が「英語音声学」用ハンドブックとして作成したものがプロトタイプらしい。)

実際の発音練習においては、感覚的な説明が多く、それがこの本の練習を難しくしている(例 p.41 FOOTに現れるウの説明は「舌の位置が日本語のウとオの中間で/u/よりも円唇が弱いものの、むしろオのほうが響きは近い)。

男性ナレーターと女性ナレーターの発音に違いが見られる箇所が少しあり(このことは著者自身によって明記されている)、発音練習のお手本として本書を手に取った学習者にとっては、若干、難しいかもしれない。例えば、「女性は両方とも/a/で区別せず、男性は/)/ と/a/を区別して発音している(p.46)」と説明があるが、その違いが、なぜ現れたのかの説明がほしい。

講師などが説明を加えるならば(面倒ではあるが)良いテキストであろうが、個人の発音練習用には向かないという印象を持った。機会があれば、説明をもう少し分かりやすく親切なものにしてほしい。
親切な本です。 ★★★★★
とても良い本です。

他に、『ファンダメンタル音声学/今井邦彦』、『新装版英語音声学入門/竹林滋』、『英語音声学入門/松坂ヒロシ』も購入しました。

4冊それぞれに違いがあって、レビューを読んでいると、音声学の知識のある方にとっては大きな違いがあるのでしょうが、私のような初心者にとっては(そして多分、多くの読者にとっても)、4冊とも非常に良い本だということ以外には、あまり大きな違いはありません。

多くのデタラメな発音の本は本来は星無しなのに対し、こちらの良書たちは星五個では充分ではありません。ただデタラメな本には見る目のない人たちが絶賛レビューを書く傾向があるのに対し、このような、やや専門的な本は、目の肥えた読者がレビューする傾向にあるので点が辛くなってしまい、デタラメな本のほうが星が多いという皮肉な結果になりがちだと思います。

本書の内容に戻ると、初心者でも丁寧に読めば理解できるように配慮されている、と言えると思います。冒頭の国際音声字母の細かさに一瞬、気が遠くなりそうになりましたが、めげずに読みすすめてみれば、初めて理解できることが多々ありました。たとえば、母音の舌の位置と高さを示す図の見方が、CDの実演のおかげもあって、初めて納得できました。今まで市販の発音テキストで母音図を見て、なんとなく分かったようで分からないままの状態が続いていたので、非常にすっきりしました。

本書の私自身の基本的な使い方は、百科事典的な使い方とでもいうのでしょうか、carsとcartsとcardsなど、どう発音するのか迷ったときに、4冊すべてで該当箇所を読んでいます。本来は、先頭ページから体系的に学習していくことを著者は望んでいるかも知れませんが、それは文法や単語など他の分野の力がついてからにしようと思います。

このような良書によって、デタラメな本の多い英語本の市場が、「良貨によって悪貨が駆逐される」ようになって欲しいものです。著者はまだ若いので、次回作、次々回作と、高品質で売れる作品を出版して欲しいと思います。
あくまでも「音声学」書 ★★★★☆
英語音声学についての知識が、網羅的、かつ簡潔に
わかりやすく示されており、好感が持てる。

ただ、説明はIPAに頼っているところが多いため、
一般音声学の知識がなければついて行くのに苦しいかもしれない。

それと、これはあくまでもオーソドックスな「英語音声学」の本であって、
「英語発音」のための本ではない点に注意。「日本人のための」と
謳ってはいるが、日本語の音と比較しながら英語の音声を説明している程度であり、
日本人特有の英語の問題点や、その改善策、練習方法などにはあまり言及がない。

例えば、日本語のrの発音と英語のrの発音の違いが調音音声学的に
示されているが、では日本人が英語のrを発音するためには
どうすればいいのかという点には触れられていない。
この点「日本人のための」説明が充実していれば、更に有益だったと思う。

なお、日本語音声学の説明では、あまり一般的とは言えない立場を取っている
部分も多々ある(例えばシの子音を硬口蓋歯茎音としたり、特殊音素として
二重母音の後部要素/J/を立てるなど)。
あくまでも英語音声学の本であり、日本語については日本語音声学の専門書を
参照するのがよいだろう。
必要な事項がコンパクトにまとまっている ★★★★★
日本人が正しい英語発音を身につけるという目標から逆算して、何をすれば良いかを根本的に考えて作られている。このため、英語の音声の説明の前に日本語の音韻体系を説明し、その前には一般音声学も説明されている。「英語ができれば良いだけなのに」と思ってはいけない。このやや大げさにも見える準備があればこそ、英語の発音の説明も分かりやすくなっている。
本書はアメリカ英語の発音(General American)を基本としているが、イギリス英語の発音(Received Pronunciation)についてはまとめて一章に解説されている。付属のCDは基本的に手本となる音を単語や文で録音したもので、これだけでインテンシブな練習ができる訳ではない(これは著者も認めており巻末に親切な教材の案内もある)。
個々の音についての説明はごく普通と考えてよいが、日本人にとり難しいところもきちんとおさえている。アクセントやイントネーションについては、著者がかなり工夫したことが見て取れ、分かりやすいものの、評者はその成否をにわかに論じる能力がないので、読者が判断してほしい。
辞書の発音記号がさまざまであることを勘案して、本書で用いている発音記号(基本的にIPA)との対照表のテンプレートを用意しているのも気が利いている。
総合的に見て、著者の研究の蓄積および発音を指導してきた経験(英語に限らず外国語の発音に関しては、これがない著者の本はまずでたらめと言って良い)がコンパクトにまとまっている。発音の練習は外国語学習において、終わることなくやっていく必要があるが、本書を読んでおけば、行く先々で迷った時の道しるべになる。