さて、内容はと言えば、彼の自伝的作品で、作家を目指しての東京生活に疲れ、故郷諌早で「食べるため入隊した」という自衛隊経験を綴った、芥川賞受賞作「草のつるぎ」、時代小説を当時の諌早訛りで著わすという大胆な「諌早菖蒲日記」など力作が揃っているが、彼の作品に通底する日常性は普遍的な魅力を孕んで、今日尚光を放っている。
また、彼のエッセイも素晴らしく、これが読めるだけでも買う価値があると思える程である。
42才で夭折した事が惜しまれる逸材であると言えよう。