2003年発表の第10作は、一味もふた味も違います。この所の作者ははじめにインパクトありきの作戦（？）でしたが、前作“Perfect Match”である意味やり尽してしまったからか、ぐっと落ち着いたトーンに衣替え、また第4作“Mercy”以降延々と続いていた後半は裁判というパターンも当てはまりません（でも、次作で復活）。

キーワードは第6作“Keeping Faith”と同様に超常現象、今回は幽霊ですが、これに白人至上主義に基く人種差別や先住民排斥といったお得意の社会的テーマをスパイスとしてたっぷりと効かせ、親子5代／90年にも亘るスケールで大河ドラマさながらに仕上げています。
感動的なのは愛は時空を超えるというシンプルなメッセージで、幽霊が主要キャラでありながら立派な、そして純粋なラブストーリーになっています（Liaが哀れでなりません！）。表紙も凝った作りになっています。

余談ですが、巻末のインタビューで作者が「読者は私の本を最後のページから読み始めるのよ、冗談だけど」と言っているのには笑いました。前作で過激さを極めた作者は、違う別のルートから再び山頂を目指し始めたのかも知れません。