しかし、会津藩で家老まで勤めた彼は、戊辰から10年後、西南戦争で官軍方として戦い、警視隊小隊長として戦死する。それゆえに、会津の忠臣であると同時に靖国神社の祭神でもある。その彼の胸に去来したのはどのような思いであろうか。
可能な限りの歴史資料に基づき、佐川官兵衛という人物を描き出すことに成功している。幕末維新期の知られざる一面に触れる歴史小説として好著である。