落語り帳 春寄席 (落語り帳シリーズ 1)
価格: ¥0
「あ~……面倒くせぇな、本当」
自然と溜め息が漏れると隣の席の楓からも真似したかのような吐息が聞こえた。
「あっちゃんも大変だよね。みんなも私みたいにもっと協力してあげればいいのに」
「お前は私の言うことに茶々入れてただけじゃねぇか」
「えー、みんな喜んでたよ? 漫才みたいだって。そうだ! 文化祭の出し物で私とあっちゃんの夫婦漫才っていうのはどう?」
「誰と誰が夫婦だっての。お前にツッコミを入れるのは普段だけで勘弁してくれ」
「じゃあ私が代わりにツッコミを入れてあげる!」
「お前がツッコミ?……あほらしい」
「私だってそれぐらい出来るもん! あっちゃん、試しにボケてみて」
「試しにボケてみてって……その言葉がボケみたいなもんだろうが」
大人気(勝手に言ってるだけ)落語パロディシリーズの初総集編。
『落語り帳』『落語り帳~二つ目~』『落語り帳~真打ち~』の三冊と同じ内容が収録されております。
目新しいおまけ等はございませんが今回はpixiv等でご活躍中のイラストレーター・なしこ様に依頼し素晴らしい表紙を描いていただきましたので、よろしければお手にとっていただけると幸いです。
〈収録内容〉
饅頭も怖いが……〈饅頭怖い〉
赴亜味例巣(ファミレス)〈寿限無〉
三郎のラーメン〈目黒のさんま〉
やっぱり桶屋がナンバーワン!〈風が吹けば桶屋が儲かる〉
エイプリルフール〈新聞記事〉
ものは試し〈試し酒〉
音の宝石箱〈井戸の茶碗〉
会長の接吻〈開帳の雪隠〉
三女三人絵師〈三都三人絵師〉
意地と犬〈あたご山〉
花火〈長短〉
〇〇と煙は高い所が好き〈金の味〉
アサガオは咲かない〈朝顔〉
あの世は案外アレ〈朝友〉
センチメンタルジャーニー〈いびき駕籠屋〉
パンがなければ?
あとがき的な。