多くの発見があります
★★★★★
日本書紀を読んでみて、ニギハヤヒとかホホデミとか、現代日本語の音からは程遠い固有名詞にとっつきにくさを感じた人も多いはず。また、歴代天皇には和風諡号というのがあるのですが、たとえば「アメクニオシハラキヒロニワ」のような諡号に何か意味があるのではないか、意味がないとなかなか頭に入らない、と苦労した人も多いでしょう。日本語学の権威であった大野晋が日本語=タミル語起源説を唱えるようになったのも、大野氏が日本書紀の注釈にかかわっていたことと無縁ではないと思います。
というわけで、ドラヴィダ語(タミル語はその一方言)に通じた言語学の権威が記紀を読んだらどうなるだろう?という疑問をもっていたので、本書も一気に読みました。教えられたこと、感心させられたことも多かったです。「亀の国」!!これはこじつけとは思えません。
そもそも今の日本では、古代史に関しては(専門家でなければ)何でも言いたい放題で、「○○天皇の正体は実は○○だった」のような推論については最初に言った者勝ちという感じ。どのみちこんな状態なら、朝鮮半島の側から日本書紀がどんなふうに読めるのか、下手な遠慮をしない大胆な仮説を聞いてみたいと思っていました。人物の正体についても言語学的裏付けがあるので、ただの推論とはひと味違います。その意味でも楽しく読みましたが、ただ本書の議論に意外性はなかったです。誰でも虚心に『日本書紀』を読めば、新羅に対する根強い憎悪というか、恨みが随所に溢れていることに気づきます。『日本書紀』の執筆に新羅に滅ぼされた百済の人々がかかわっていなければ、こうした調子にはならなかったでしょう。
気になるのは本書が韓国で出版された本の「一部」であること。厚くなって値段が高くなると売れないから? それとも日本(人)に対する遠慮? ぜひもっと詳しい論証を読んでみたいです。
トンデモ本ではあるが・・・
★☆☆☆☆
大野晋のドラヴィダ語説を踏襲している時点でトンデモ本。
しかし、倭の起源が華南→山東半島→南韓にあるというのはもっとも。
それ以外はすべて牽強付会。デタラメ。
だけど、韓国の言語学者の著書を、このタイトルで出せば
ある程度売れると睨んだ版元の腕前はなかなか。
長い目で見ると、出版社としての信用を落とすだけなんだけど、
このご時勢、背に腹は変えられぬ。
日本の研究者達はこの風潮を放置せずに反論した方がいい
★☆☆☆☆
一言で書くと、「倭は朝鮮半島が起源」と主張している本。
倭は元々朝鮮南部にいた加羅族のつくった伽耶(任那)のこと。そして、日本列島に進出して分国(植民地)を作った。だが、半島側が勢力を失うに連れて倭の中心は日本列島になる。古代日本の歴代天皇の多くは、百済の王子らが次々成り代わったものだという。
だから、朝鮮の史書の『三国史記』で倭が新羅を攻める記述は、日本列島の倭が朝鮮南部を支配下においていたことを示すものでは無い。朝鮮の『広開土好太王陵碑文』の倭の部分も、変造されたものだ(中国でオリジナルのコピーが見つかっており、既に変造ではないことが証明済みなのだが)。元々問題のある『日本書紀』については、朝鮮→日本の主客を逆転させて書かれた書物であるとし、徹底して読み替えや文意のすり替えを試み、朝鮮側が宗主国の話だと断定している。
しかし、本書を慎重に読むと、一番肝心な「倭は朝鮮半島が起源」という根拠が極めて薄く、あいまいなことに気づく。結局、日中韓の史書にそのような明確な記載は無く(著者の意図的な読み替えを除く)、信頼性が疑われる著者の専門という比較言語学による不思議な解釈くらいしか証拠がない。
なぜ、無理な解釈を重ねに重ねてこのような珍説を主張するのだろうか。日中韓の史書の記述に加え、朝鮮南部での前方後円墳発見もあり、今や倭が古代朝鮮南部で強い影響力を持っていたことは確実視されている。そこで、倭の定義自体を朝鮮半島由来であるとしてしまえば、日本が朝鮮に進出していたのではなく朝鮮が日本に分国を作ったと言えて、さらに日本は朝鮮半島起源だという主張もできるという以外の理由は考えられない。
この本は、民族主義教育を背景に朝鮮優位の歴史観を絶対視している韓国歴史学界の典型的な研究手法が随所に発揮されている。巧妙な「トンデモ本」の典型として、線を引きながらじっくり味わって読むことをお勧めする。
ひどい内容・・・
★☆☆☆☆
完全フィクションでした。
裏づけ資料など全くなし。
理論も強引すぎる。
確かに「日本書紀」に卑弥呼が登場しないのは不思議
★★★★★
倭の正体をいろんな角度から突き止めた本。
今まで習ってきた倭が、本当は日本ではなかったという話。
「日本書紀」を鵜呑みにできないことはすでにいろんな本で読んでるけど、
これは、「じゃあ実際どうだったのか?」に応えている本だと思う。
日本史で今まで謎とされてきたことが、これをヒントにボロボロと解明されていくかもしれない。
著者が韓国人なので、やや誇張しすぎている、無理があると思うところはある。
でも、それが気にならないくらいの、歴史好きを挑発するおもしろさがある。