いわゆる『シケタイ』の民法総則である。
説明が微に入り細に亘る親切さである。
ある一文を読んで初学者が当然持つであろう疑問が次の文章でその疑問を予測したかのごとく説明されている事が多い。
また知識量も必要十分であり、本書の知識かもしくは類推で過去問にも十分対応できる。
正直これがあれば予備校のインプット講義は不要である。

欠点をあげれば
形式面として論点と論点の構成が悪いように感じた。
すなわち、ある論点を説明したあとにわかりやすく改行することなくいきなり次の論点の話に移っていたりすることがあることである。
実質面では、当該論点の話しをする際、当然のごとく後で学習する債権法の話を前提としていることなどがある。

しかしこれは敢えていえばの話であって、欠点などという部類にはいるか疑問である。
形式的な欠点は慣れればなんのこともない。
実質的な欠点を解消する手段として初学者はまず同著の『伊藤真の入門シリーズ』を読むことをオススメする。
その法律の全体像を概観した上で本書にあたれば上記欠点もなんの問題もないように思われる。

以上若干の欠点を考慮して☆4とした。

　私は受験生ではありません。ただ、公務員としていろいろな部署を経験するうちに、それぞれ違う法律を勉強しなくてはならず、法律の女王とも呼ばれる民法の知識が皆無な為に苦労しています。
　しかし、民法は範囲も膨大で、強い意思と動機がないと勉強し切れるものではありません。
　この本は、他の基本書にはない、アクセントをつけた編集のため非常に勉強しやすいです。
　本文には、「これから学ぶ基本概念は繰り返し読み込んで、自分の常識になるぐらいまでマスターしてほしい」というような言葉が入っています。民法の学習方法にもふれていて、初心者にとって助かります。
　ボリュームも多すぎず少なすぎず、緊張感をもって勉強を進めるのにちょうどいいと思います。